Eelsの『End Times』に漂う哀愁を支持出来ないなんて
Eelsの8作目のスタジオアルバム『End Times』が脅威のスパンで届けられたのでご紹介。
前作『Hombre Lobo』から僅か半年余りで届けられたアルバム『End Times』という事で、基本的に多作であるEelsだとはいえ若干の不安はあったのですが、その不安を打ち消すような充実作に『End Times』は仕上がっていました。予想通りアコースティック中心の内容にはなっているものの、アップテンポでポップな「Gone Man」や「Unhinged」の様な楽曲もあり、曲自体のクオリティも決して低いものではないですし、Eelsらしいサウンドが随所に見られる作品に仕上がっています。前作『Hombre Lobo』の物理的な生々しさとは違う、精神的な生々しさと痛みに『End Times』は満ち溢れていて、基本的には対称的な内容に仕上がっているわけですが、どちらもやはりEelsを象徴する様なサウンドだと思います。ご存知の通り、Eelsは中心人物であるEそのものの様なバンドですので、今作『End Times』に漂う哀愁も、離婚を経験したEが「別れ」をテーマにして作品に取り組んだ為で、そのメランコリックな傾向がハッキリと出ているのですが、悲しみだけではない様々な感情が滲み出ている様に思います。特にシングルにもなっている「A Line in the Dirt」は、アルバムを代表する美しいバラードで、『End Times』の中でも群を抜いたクオリティを誇って、抑えた感情が零れ落ちそうなそのボーカルには、『End Times』の濃いエッセンスが詰まっている様に思います。
ここ数年のEelsの音楽活動は非常に充実していると思いますし、今作はその気持ちに確信を持てる内容なので、昨今のPitchfork Mediaの評価に惑わされない事を推奨。前作『Hombre Lobo』も良作なのであわせてどうぞ。「Beginner's Luck」という素敵にアッパーなモータウンビートの曲も収録されています。
お馴染みのAdrian Tomineのイラストでジャケットも良い。ちなみに『End Times』の輸入盤にはボーナスディスク付の二枚組があって、興味のある方はこちらがお勧め。
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