The 88が『The 88』で叶えた理想と決定的なサウンド

The 88『The 88』が素晴らしいポップアルバムに仕上がっていますのでご紹介。
The 88といえばアメリカのバンドながらThe Kinksの正統な系譜にあたる作品を作り続けているバンドですが、今作ではその思いが届き、Ray Davies自身がアルバムにゲストとして参加しており、「They Ought to See You Now」という楽曲でコーラスを聞かせてくれています。当然、アルバムの内容もKinksの遺伝子を引き継いだ作品になっているのですが、この辺は相変わらずといったところ。前作『Not Only... But Also』はメジャーからの発売といった事もあって、整ったプロダクションでバンドの成長を感じる事が出来たのですが、インディーズに戻ってセルフプロデュースとなった今作でも、全く聞き劣りする事無いどころか、弾ける様なサウンドが瑞々しい極上のポップアルバムに仕上がっているのが素晴らしいです。前作『Not Only... But Also』パワーポップの要素が強く滲み出ていた作品で、非常にポップな仕上がりだったのですが、今作『The 88』では全編を通して鍵盤の響きが更なるポップさを演出しており、The 88の作品の中で最もポップな作品だといっても過言ではないと思います。従来から発揮していた高いソングライティング能力に加えて、『The 88』ではピアノ・キーボードのAdam Merrinの貢献度が素晴らしく、円熟味が出てきたKeith Slettedahlのシャウトするボーカルと重なり合う事で、個々の楽曲が一層の冴えを見せております。
The 88ダウンロード販売で2009年に『This Must Be Love』、2010年に『No One Here EP』と作品のリリースが続いており、まさに充実期だといえるのですが、今作『The 88』の発売は決定打的な一枚になると思います。それだけ『The 88』は理想的な一枚だと思いますし、セルフタイトルを掲げている事からも分かる通り、バンドとしても今のバンドの全てを出し切った一枚の様に感じます。ちなみにThe 88iPhoneだけで録音した新曲をiTunes Storeでリリースした事でも話題になっていました。惜しむらくは日本での知名度が極端に低い事で、話題性だけでなく日本でも確実に受け入れられるサウンドだと思うので、興味のある方はぜひ布教活動を。

iPhoneだけで録音した新曲 - The 88がiTunes Storeでリリース マイコミジャーナル

88

88

当たり前の様にRay DaviesのこのアルバムでもThe 88「David Watts」で共演。「Till the End of the Day」ではAlex Chiltonとも共演するという重用振り。
See My Friends

See My Friends