Starsが『The Five Ghosts』で見せる幕開けと集大成と透明度

メンバーが参加するBroken Social Sceneの『Forgiveness Rock Records』の発売と連なるように発売されたStarsの『The Five Ghosts』をご紹介。Starsはカナダの人気バンドとして知られますが、今作『The Five Ghosts』は自身が設立したレーベルSoft Revolutionから発売という事で、バンドの新たな幕開けを予感させる内容に仕上がっています。
前作『In Our Bedroom After the War』ではStarsの代名詞であったエレクトロの要素が抑えられ、生楽器の響きに重きを置いた新境地を見せ、バンドのスケール感が出てきていたのですが、今作『The Five Ghosts』では原点回帰した様なサウンドが中心となっており、前作で見られなかったエレポップの様なニュアンスの楽曲がアルバムの中心を担っています。先行シングルになっていた「Fixed」は混声ボーカルとキラキラしたシンセが絡みあう良曲だと思いますし、ソロアルバムではフォーキーな展開を見せているAmy Millanも、『The Five Ghosts』の様なサウンドにボーカルが乗る事でソロ活動との棲み分けが出来ていると思うし、メランコリックな楽曲の中で彼女の歌声のキュートな側面が十分に発揮されていると思います。 Starsの面白いのはエレポップ調の楽曲に舌足らず気味の女性ボーカルが乗ると、普通は下世話さがもう少し出るものなのですが、『The Five Ghosts』では今まで以上に透明度が高く崇高さすら感じられるサウンドに進化しており、細部にまで染み入る様なサウンドの構築方法は、やはりStarsの真骨頂だといえると思います。個人的には前作『In Our Bedroom After the War』ではバンドの可能性を広げられたものの、一番の武器を活かしきれていたとは言い切れない仕上がりではあったので、新たな幕開けであり集大成である『The Five Ghosts』は非常に嬉しい一枚となりました。

国内盤には4曲のボーナストラックには表題曲「The Five Ghosts」やThe Album Leaf、Montag、Of Montrealをフューチャーした楽曲が収録されており、全体の雰囲気を壊さずに収録されているのでお勧め。

ザ・ファイヴ・ゴースツ