Blink-182が『Neighborhoods』で見せつけたスクラムと二回りの成長

Blink-182が再始動後に発表した『Neighborhoods』を聞いています。再始動したツアー終了後のレコーディングが長引いた事もあって、リスナーにとっては本当に『Neighborhoods』は待望の新作という事になるのですが、この作品が非常に頼もしいというか鋼の様に堅い絆とサウンドを感じさせる一枚に仕上がっていたのでご紹介です。
前作『Blink-182』が2003年発売ですので『Neighborhoods』は8年振りの新作で、前作『Blink-182』が様々なサウンドを飲み込んで可能性を押し広げていったキャリアの上でもターニングポイントとなる力作だった事もあり、今作が一体どの様な作品に仕上がるのかと思っていたのですが、結果的に『Blink-182』で見せた様々なサウンドの要素をギュッと濃縮した様な密度の濃い作品になっている事が強烈に印象に残ります。この事が『Blink-182』で受けたやや散漫な印象を打ち消しており、再始動のアルバムとしては文句の付けようのない作品に仕上がった大きな要因だと思います。
『Neighborhoods』は、とにかくサウンドが力強くまとまっており、現代において稀代のドラマーであるTravis Barkerのドラムは今までに増して変態的で独創的なビートを刻んでいるし、Mark HoppusTom DeLongeツインボーカルも非常にバランスが良く耳に飛び込んできて、バンドの状態としても非常に良い事を伺わせ、非常にバランスが取れた作品だと思います。確かに初期のBlink-182に見られた一聴して耳に残るバブルガムなメロディはやや陰を潜めている為、地味な印象を受ける人が多いと思うのですが、聞き込めば聞き込むほどに地に足が付いた様な良質のメロディが染みこんできて、もはやパンクの枠にとらわれないスケールの大きなロックバンド、でもアリーナバンドとも違う確固たる存在感をBlink-182『Neighborhoods』で確立した様に思います。Blink-182の3人はBlink-182として活動していない間もそれぞれに音楽活動を継続していた訳で、その事が上手くBlink-182に溶け込んでいて、個々の活動がBlink-182として血となり肉となっている印象を受けます。Travis Barkerなんてソロアルバムではヒップホップ寄りのサウンドを展開していた訳で、その辺のリズムやビートの面での進化は如実に表れていると思います。
また、今作『Neighborhoods』は絶大な信頼を置いていた名プロデューサーJerry Finnが2008年に若くしてこの世を去った事もあって、三人のセルフプロデュースという形でリリースされています。Travis Barkerの大事故、生と死と出会いと別れ。『Neighborhoods』は大きな喪失を埋めるかの様に3人がガッチリとスクラムを組んだ感動的な作品でもあり、Blink-182の再始動のアルバムとしては文句の付けようのない作品であると共に、Blink-182が二回りほど大きなバンドに成長したという事をまざまざと見せつける傑作に仕上がっていると思います。もちろん、文句なしにBlink-182の最高傑作。
全ての楽曲が力強く出来が良いですが、あえて書くならシンセサイザーを大胆に導入しながらも従来型のBlink-182のポップなメロディが映える「This Is Home」が出色の出来。ちなみにキーボードでRoger Joseph Manning Jrも参加。相変わらず良い仕事しています。
国内盤はボーナストラックが収録。

ネイバーフッズ

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10曲な36分で一気に濃密な時間を突っ走る輸入盤もお勧め。
Neighborhoods

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