岡村靖幸の『エチケット』で届けられたリアレンジ

昨日の続き。
岡村靖幸『エチケット』パープル盤とピンク盤を聞いています。パッケージの価格はネックになるものの、内容は素晴らしかったので取り合えずレビューを。
まず聞いて驚くのは岡村靖幸の声がシッカリと出ているという事、そして単なるセルフ・カバー集でもなければ、ありがちな「だいすき〜2010〜」的でお茶を濁した様なリアレンジの楽曲集ではないという事。『エチケット』の2枚は間違いなく岡村靖幸の心血が注がれた作品に仕上がっています。『エチケット』はライブ音源を上手くミックスさせながら、サウンドもクリアに仕上がっていますし、このサウンドが2011年最新のサウンドかといえば決してそうではないのですが、元々サンプリングや打ち込みのサウンドも得意としていた岡村靖幸が楽曲を現代のサウンドで再構築しビルドアップさせた印象で、各楽曲のアレンジ自体はかなりクオリティが高く、何よりも全ての楽曲にポップさを残しつつ楽曲を再構築している点が本当に素晴らしいと思います。尺が長いだけのダンスリミックスや難解なアレンジにしなかった事、これが『エチケット』最大のポイントで、岡村靖幸が自分に求められている事を理解した上で、アルバムを製作したという事が滲み出ており、この事が今後の活動にも大きな期待を抱かせるポイントになっていると思います。この為、古参のリスナーには間違いなく受け入れられるサウンド『エチケット』の2枚は仕上がっていると思いますし、新規のリスナーが聞いたとしても違和感の無い、仕上がりだといえると思います。もちろん、『エチケット』でリアレンジされた楽曲がエヴァーグリーンな原曲の魅力を超えるとは思いませんが、岡村靖幸という音楽家の魅力と才能を十分に伝える事が出来る楽曲が収録されていると思います。
パープル盤は全体を通してファンキーで切れの良いグルーブが印象的で、ライブでのアレンジとバランス良くミックスされている印象。特に「どぉなっちゃってんだよ」「アルファイン」「モン・シロ」の流れや「マシュマロハネムーン」などのファンキーに仕上がった楽曲が素晴らしいです。ピンク盤はバキバキに生まれ変わった「19(nineteen)」「Super Girl」「いじわる」などセカンドアルバム『DATE』からの楽曲はメロディの良さが生かされている事もあって感慨深いです。
どちらの盤にも共通するのは収録曲の選曲や構成のバランス、ライブ感を含めたサウンドのバランスがシッカリと取れているという事で、選ぶとしたらあとはもう聞き手の好みの問題だろうから、どちらか1枚を選んで購入するというのはやはり難しく、やっぱり両方聞かざるを得ない仕上がりになっています。ですので、もし片方を買って気に入ったのであれば、ぜひ両方買ってあげて下さい。少なくとも古参のリスナーが買って後悔する様な仕上がりではないと思います。そして、新規のリスナーが『エチケット』を聞いてから原曲を聞くと少々古臭く感じるかもしれません。ですので選曲が入門盤としても優しいこの『エチケット』から聞くのも全然アリだと思うのですが、やはり原曲を知った上で聞くというのが順序としては正しいのではないかと思っています。
ちなみにどちらの盤もセールスは好調の様で、オリコンのデイリーでも6、7位と検討しています。店頭では品切れのところも多いらしく、Amazonでも現在は品切れ中です。

エチケット(パープルジャケット)

エチケット(パープルジャケット)

エチケット(ピンクジャケット)

エチケット(ピンクジャケット)