Cribsが『Ignore the Ignorant』を作り上げ、Johnny Marrが欠かせなくなる理由

Beatlesのリマスター盤しか聞いてなかったので、滞っていた新作のレビューをボチボチ再開していこうと思います。※このレビューは一ヶ月前に書き上げていたものなので、何となくちょっとタイムラグありますが。
という事でCribsにマーさんが加入したという事で不安一杯な気持ちで『Ignore the Ignorant』を聞いてみました。ご存知の通り、The CribsJohnny Marr(ex The Smiths)が加入という事なのですが、全くもってピンと来なかったのは自分だけでは無いはずです。Johnny MarrといえばThe TheがあってElectronicがあってJohnny Marr and The Healersがあって、Modest Mouseに加入したりしてと、フットワークが軽いイメージがあった為、新バンドに加入という事自体には疑問を抱かなかったのですが、三兄弟で構成されていていかにも結束の固そうなCribsにいきなり加入するというのは、どう考えても違和感が合った訳でして、これで作品に影響が出ない訳は無いと思っていました。その辺が不安を煽る要素としてあったのは間違いありません。
という事で前置きが長くなりましたがアルバム『Ignore the Ignorant』を聞いてみた感想を。
正直、アルバムの冒頭は目頭が熱くなるほど懐かしい80年代〜90年代にかけてのUKバンドの香りがプンプンとしており、とてもCribsサウンドとは思えませんでした。これはもうちょっとバンドの行く末が不安になる程にCribsらしさが希薄だったのですが、中盤から徐々にらしさが出てきます。メロディの爆発力は今までの作品に比べて明らかに低いのですが、根幹のメロディ力は失われておらず、エモーショナルなボーカルと繊細なJohnny Marrのギターの対比で新たな魅力は提示出来ていると思います。個人的にはセカンドアルバム『The New Fellas』Cribsの最高傑作だと思っているので、今作でいえば「Emasculate Me」の様な曲をもっと聞きたい気持ちがありますが、「Victim of Mass Production」の様にCribsJohnny Marrの魅力を生かした良曲も収録されていますので、今作『Ignore the Ignorant』の様に急激に特殊な要素が加わった状況の中で、上手く融合したサウンドに辿り着きつつはあると思います。不安点を挙げるなら今後Cribsがこの様な路線を突き詰めていくのであれば、Johnny Marrの存在は欠かせないという点で、どうしてもCribs+Johnny Marrという印象が残った『Ignore the Ignorant』を超える一体感と勢いを新たに生み出す必要性はあると思います。そこをクリアして次の段階に進めるのであれば、結果的に今回の様な変化がCribs次のステージへを導いてくれるのではないかと思います。
例の如く国内盤はamazonで割引になっていますよっと。

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そういえばCribsArctic Monkeysの武道館公演10/19(月)にスペシャルゲストとして登場するとの事。そしてその後はジャパンツアーという事で、行かれる方は楽しんできてください。旧譜の音がどの様に再現されているのかが楽しみ。
一応単独公演の日程。
10/21(水) 東京 赤坂BLITZ
10/22(木) 名古屋 CLUB QUATTRO
10/23(金) 大阪 CLUB QUATTRO