They Might Be Giantsの『Join Us』は久し振りに届けられた大人向けのアルバム
They Might Be Giantsの大人向けのアルバム『Join Us』が発売されているのでご紹介。
They Might Be Giantsは1986年に発売された『They Might Be Giants』でデビューを果し、次々とコンパクトなポップソングを生み出し、所謂ひねくれポップ職人といった形容詞で語られるバンドなのですが、2000年代に入って発表した4枚の子供向けのアルバムも海外では高く評価されています。中でも2008年に発売された『Here Come the 123s』はグラミー賞を獲得しており、他のバンドとは一線を画した音楽活動を継続させています。そんなThey Might Be Giantsが2007年の『The Else』以来になる大人向けのポップアルバムが『Join Us』で、多作なThey Might Be Giantsですが、ちょっと久し振りな印象を受けます。
そんな『Join Us』の内容ですが、今までのThey Might Be Giantsのアルバムと変わりない楽しいポップアルバムで、コンパクトなポップソングが矢継ぎ早に飛び込んでくる事も変わりがありません。2002年に発売された『Mink Car』ではエレクトロなエフェクトを多用したり、『The Else』ではプロデューサーにDust Brothersを迎えるなど、ダンスミュージックとも上手く融合を果してきたThey Might Be Giantsですが、今作『Join Us』ではホーンを中心に生楽器の響きが活かされていたり、童謡の様な中毒性のあるメロディと、オモチャ箱をひっくり返したようなポップセンスが爆発しており、子供向けの作品を消化した上で、非常に分かり易く楽しいポップアルバムに回帰してきた印象を受けます。もちろん、単に分かりやすいサウンドなのではなく、They Might Be Giantsらしい遊び心が存分に発揮されながら、様々なジャンルのサウンドが巧みに丁寧に取り入れられており、全体を通せば分かりやすく感じるサウンドでも、They Might Be Giantsの集大成的な仕上がりであり貫禄のある凄みすら感じます。中でも、これぞThey Might Be Giantsなポップソング「Can't Keep Johnny Down」、その構成もさることながら様々なサウンドがバランス良くミックスされた「Celebration」、シンセサイザーで浮遊感を持たせながらも、どこか暖かみのある「Never Knew Love」などは出色の出来だと思います。
という事でThey Might Be Giantsの『Join Us』はキャリアを総括した内容ですので、大人向けのアルバムを心待ちにしていたリスナーは勿論、子供向けのアルバムでThey Might Be Giantsを聞き始めたリスナーにも取り付きやすい素晴らしい作品になっているのでぜひどうぞ。
- アーティスト: They Might Be Giants
- 出版社/メーカー: Rounder / Umgd
- 発売日: 2011/07/19
- メディア: CD
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