Mansunのベスト盤『Legacy: The Best of Mansun』が残した爪痕

昨年末に輸入盤に二年遅れでようやく国内盤が出たMansunのベスト盤『Legacy: The Best of Mansunamazonでセールになっていた為、購入したわけですが、鳴り止まない熱き鼓動の果てを感じたのでご紹介です(ちょっと遅いけど)。
デビュー当時からRadioheadと比較されていたMansunですが、その後の歩みはむしろ真逆で過小評価の代表格ともいえるバンドだと思っております。個人的にはSuedeの系譜としてMansunを聞いていた印象があったのですが、今回ベスト盤を聞きなおしてみて改めて感じたのは、その楽曲にはどこか難解なイメージがあったものの、その反面では印象に残る親しみやすいグッドメロディを連発していて、その意味ではRadioheadよりも良質なポップバンドであったなという事で、時代の波には乗れなかったものの90年代のUKロックシーンに爪痕を残したバンドだといえると思います。とはいってもMansunは商業的に全く振るわなかったバンドでもなく、デビューアルバム『Attack of the Grey Lantern』はチャートの1位も獲得しています(セカンドアルバム『Six』は文字通り6位だった)し、本国では決して低評価だったわけではない(イギリス特有のこき下ろしはあれど)ので、この『Legacy: The Best of Mansunが発売された事で日本でも再評価の機運が高まれば良いのになと思っております。
さて、Mansunは4枚のアルバムを残しており、アルバムの完成度としては『Six』を推す人が多いと思うのですが、個々の楽曲のメロディの良さは『Attack of the Grey Lantern』とサードアルバム『Little Kixも引けを取ってはいないと思います。4枚目の『Kleptomania』は発表する前にバンドが解散になった為、幻のアルバムと呼ばれていた音源がファンの嘆願書が集まった事で日の目を見ることになった編集盤のアルバムで、国内盤はCCCDで発売された為に自分は未聴なのですが、今回の『Legacy: The Best of Mansunにもその楽曲が収録されていますので、その断片を窺い知る事が出来ます。それらの楽曲も決して音楽的行き詰まりを感じる残り火的なものではなかっただけにバンドの解散は惜しまれるのですが、中心人物のPaul Draperがようやくソロ活動に取り組みだしたらしいので、そちらの活動にも注目していきたいと思います。
今回の『Legacy: The Best of MansunにはDVDも付属になっているのですが、DVDはMansunの歴史を総括する内容になっていますし、何より国内盤にはPaul Draperが各曲を解説したライナーの和訳や解説付きのディスコグラフィーはもちろんの事、来日公演でのセットリストや年表まで載っており、まさにMansunの集大成的な一枚となっているので入門編としては最適の内容だと思います。ただし、収録されている楽曲はシングルエディット(ラジオエディット)も多く、Mansunの本質を垣間見る事は出来ても、あくまでもダイジェスト盤の様な印象なので最終的にはオリジナルアルバムを購入する事(特に『Six』は)をお薦めしておきたいと思います。『Kleptomania』以外は安価で見つかると思いますので。

レガシー:ザ・ベスト・オブ・マンサン(DVD付)

レガシー:ザ・ベスト・オブ・マンサン(DVD付)

ファーストインパクトだったStripper Vicar - Mansun

いわゆる代表曲となったLegacy - Mansun

ラブソングで新境地を開いたI Can Only Disappoint You - Mansun