Everclearの『In A Different Light』は新作ともベスト盤とも言えないですが最高です

Everclearの個人的には待望の新作『In A Different Light』をご紹介。
新作といっても新曲は2曲だけで残りは既発の楽曲。とまあこの様に書くと物凄くやっつけのベストアルバムの様に感じますが、実際は全く違った作品。というのも、まず『In A Different Light』は全ての楽曲が新録されているという事。そして、既発の楽曲も全てアレンジが違い、新たに生命を吹き込まれた様な楽曲に仕上がっているので、新生Everclearとしての楽曲として生まれ変わっているといえると思います。元々3人組だったEverclearですが、既に中心人物のArt Alexakis以外は2003年にバンドを去っており、メンバーチェンジを繰り返しながら活動を続けています。『In A Different Light』のレコーディング後にもArt Alexakis以外のメンバーが全て入れ替わっており、来年発売予定のアルバムでは新しいメンバーとレコーディングにする事になると思われます。この事からも分かるようにEverclearは既にArt Alexakisのソロプロジェクトという意味合いが強くなっており、その流れからこの『In A Different Light』の製作に至ったのだと思います。
全ての楽曲が3人組の時代のバージョンよりも表現豊かに柔らかいルーツミュージックに接近したサウンドで、アコースティックの響きを大事にしながらも楽曲が本来持っていたハードなギターサウンドを完全に消し去らない仕上がりで、そのタイトル通り、違う角度から光が当たった様に楽曲が別の表情を見せ、3人組の時に表現し切れなかったサウンドを作り上げている印象です。もちろん、各楽曲の本来の良さもあるので、リスナーによっては賛否も分かれると思うのですが、アルバム全体を通した統一感を踏まえると概ね満足できるアレンジだと思います。しかも新曲である「Here Comes the Darkness「At the End of the Day」もアルバムの中で全く浮いておらず、ベスト盤的な選曲に聞き劣りせずに輝きを放っており、『In A Different Light』を更に魅力的なアルバムにしていると思います。ベスト盤的な選曲ですので、その楽曲のメロディは折り紙つきですし、これらの事を踏まえても『In A Different Light』が悪いものになるはずもなく、新しいリスナーにとっての入門盤にしても、既存のファンを満足させる新作としても、最高のアルバムといっても過言はないと思います。
ちなみに『In A Different Light』にはドラマーとして元GodsmackHalloweenにも参加経験のあるTommy Stewartが加わっており(『In A Different Light』レコーディング後に脱退しているので、Everclearのメンバーとしての活動期間は僅かですが)、パワフルなドラムを聞かせており、『In A Different Light』は全体を通して演奏自体は凄くまとまっていて、ライブアルバムの様な勢いのあるアルバムに仕上がっていますので、その辺にも注目していただきたいところです。
前述の通り、来年発売予定のアルバムではメンバーも代わっていますので、正直なところサウンドの予想はつきにくいですが、『In A Different Light』を聞く限り期待は出来ると思うし、完全に新曲で構成された新作は2006年の『Welcome to the Drama Club』以来という事になるので、非常に楽しみであります。

In a Different Light

In a Different Light

各楽曲のレビューは省いていますが、聞き比べるならこのベスト盤辺りがお勧め。
Best of Everclear

Best of Everclear