The Vaccinesが『What Did You Expect From The Vaccines?』で聞かせる予想以上の仕上がり
NMEやBBCから激しいプッシュを受けているThe Vaccines(何となく頭に入ってこない名前ですが日本語表記はヴァクシーンズ。)のデビューアルバム『What Did You Expect From The Vaccines?』を聞いています。
2011年はギターバンド復権の年という流れは、明らかにイギリスのメディア側が仕掛けているものですが、Vaccinesのサウンドを聞いていると、確かにその予感めいたものを感じる事が出来ます。デビュー前からVaccinesは各メディアが取り上げた事もあって、デビューアルバムに対する期待は高いものがあったはずですが、結論から書くとアルバム『What Did You Expect From The Vaccines?』はその期待に応えられた内容に仕上がっていると思います。冒頭の僅か1分22秒の「Wreckin’ Bar」の印象的なメロディでアルバムは幕を開け、続く「If You Wanna」も非常に分かり易いシングル向きの楽曲。でも何より感心したのはミドルテンポの「A Lack Of Understanding」のメロディの良さで、その後の「Blow It Up」「Westsuit」と続いていくアップテンポではない楽曲の仕上がりの良さでした。
Vaccinesは確かにインディーズのギターバンド然としており、パンク・ガレージからの影響も強く感じられ、金太郎飴的に楽曲を作り出す能力も持っているのですが、その一方で、アルバムを通して聞くと非常に器用で深い音楽的な素養のあるバンドだと感じます。例えば「Nrgaard」は現代の流行でもあるサーフロックの要素を違和感無く取り入れていたり(いわゆるサーフロックと形容されているバンドより、シッカリとしたバックグランドをもって取り入れているように感じる)、バラード的なアプローチも上手く機能していたり、僅か36分で一気に聞き通せる短いアルバムですが、様々なサウンドの要素を巧みに吸収している事が分かります。
最初にVaccinesを聞いた時に思い出したのはStrokesでもLibertinesでも無くて Ordinary Boysというバンド。彼等も非常にクレバーなバンドでアルバム毎にサウンドを変化させてきたのですが、Vaccinesにも同じ様なサウンドメイキングに関してはクレバーさを感じます。この手のバンドは短命に終わる事が多いのですが、Vaccinesに関しては生き残れる体力を持ったバンドだと思うので、今後も注目していきたいと思います。
国内盤の発売も決まっていますのでお勧めしておきます。
ワット・ディジュー・エクスペクト・フロム・ザ・ヴァクシーンズ?
- アーティスト: ザ・ヴァクシーンズ
- 出版社/メーカー: SMJ
- 発売日: 2011/05/11
- メディア: CD
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