ふくろうずの『マジックモーメント』と生ふくろうず記念日

Submergeが終わってからというものふくろうず『マジックモーメント』ばかり聞いています。
Submergeが80年代特集だったこともあり、全曲打ち込みで作られた『マジックモーメント』はいい塩梅で体に馴染みます。内田万里は相変わらず希代のメロディーメーカー振りを発揮しているし、全ての曲が口ずさめるようなメロディの親しみやすさが今作の特徴でもあり、歌詞の世界観もよりシンプルで直接的な言葉が多用されていることが印象的で、ポップミュージックとしての機能性も高い作品に仕上がっています。
非常にふくろうずらしい楽曲でもあり、前半ハイライトでもある「ユアソング」と後半のハイライトでもある「ベッドタウン」が中盤の「ドキドキ」、「マーベラス!」、「イージーカム・イージーゴー」(名曲!)、「春の嵐」と畳みかけるよう繰り出さされるチープでポップな楽曲群を挟み込んでいるアルバムの構成(もっといえば「GINGA GO」に「テレビジョン」と「37.3」はアルバムの中でアクセントの役目をしっかりと果たしている)はちょっと尋常ではないし、ボーナストラック扱いの「ハイブリッド レインボウ」を除けば12曲44分で、コンパクトながらも密度の濃い作品に仕上がっています。
このアルバムの評価を難しくするとしたら、ドラマー不在の中メンバー3人だけで作られた作品だということで、全体的にどうしても軽みのあるサウンドになっていることが、リスナーにどの様に聞こえるのかということだと思います。サウンド面での統一感や軽みは単調さとも表裏一体だし、ともすればふくろうずの持つカラフルな魅力を抑制している面もあり、この辺は評価が分かれるのかもしれません。厳密にいえば、このアルバムがコンセプトアルバムほどの統一感はない(むしろバラエティに富んだ楽曲群のはず)のに、構成力の高さとサウンドの傾向からカラフルさというよりかは単調さを感じてしまうリスナーもいるだろうなという点で、これがふくろうずの名刺代わりの作品になるかというと、それはちょっと違うような気がします。その意味ではむしろミニアルバムだった『テレフォン No.1』のカラフルさの方がふくろうずの本質を表現できているのではないかと思います。
ちなみにマジック・モーメントには「誕生日、入学、卒業、結婚、結婚記念日など、顧客の記念日をタイミングとしてダイレクト・マーケティングすることで、それによって反応率が向上すること」という意味もあって、そのタイトル通り誰かの特別になる可能性が非常に高いアルバムですが、ふくろうず自体はもっと幅広いマーケットに届くことが出来るはず。個人的にはもういい加減売れて欲しいバンドだし、そういった作品を期待していた節があったため、ちょっと肩すかしの部分もあったのですが、その辺のバランスの悪さもまあふくろうずらしいのかなと。
とまあ書いてはきたものの、一つの作品としてはもちろん、個々の楽曲の魅力の方が圧倒的に大きく上回る快作だと思うし、次作がますます楽しみになる作品ではあるので、これからもステップバイステップなふくろうずを追いかけ続けたいと思います。
兎にも角にも『マジックモーメント』の楽曲も含めてライブで聞いてみたい楽曲群が目白押しなので、福岡での初ライブが楽しみではあります。明日は生ふくろうずを生温く生真面目に生観戦予定でっす。

ちと高い価格設定ですがDVDの内容は充実なので、こちらをお勧めしておきます。

マジックモーメント(初回生産限定盤)(DVD付)

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利き明太子には自信がない。というか福岡の人は意外と明太子を食べないというトリビアさわおさんの事を考えて作った楽曲が楽しみ。