The Cigavettesが『The Cigavettes』で聞かせるデビューアルバムらしからぬ仕上がり

The Cigavettes待望のデビューアルバム『The Cigavettes』を聞いています。
発売後、繰り返し聞いているこのアルバムですが、デビューアルバムらしからぬ実に仕上がったアルバムになっています。正直、デビューアルバム特有の熱量が一切感じられないアルバムで、多くのデビューアルバムで語られる初期衝動やデビューアルバムにしか落とし込めない圧倒的な勢いを感じる事は出来ません。多くのアーティストがそうであるように、良い意味でも悪い意味でもデビューアルバムの存在に対して様々な評価が付きまとう事になる訳ですが、『The Cigavettes』に関してはデビューアルバムの魔力がもたらす大きな功罪を排除した求道的なアルバムに仕上がっていると思います。この点はデビューアルバムが発売されるまでのCigavettesのキャリアを知るものなら、十分に理解出来るのですが、前情報無くこのアルバムを聞かせて、デビューアルバムと断言出来る人は多くは居ないと思います。CigavettesのデビューEPである『Taste Of The Sun』は2007年発売で、そこから4年の時を経て今回のアルバムは発売されており、Cigavettesの積んできた地道なキャリアが、『The Cigavettes』を所謂デビューアルバムらしい作品にさせなかった大きな要因になっています。また、『The Cigavettes』に収録された楽曲はライブでお馴染みの曲もあれば既発の楽曲もあるのですが、その全てがライブでビルドアップされ進化し続けており、アルバム収録曲はその一つの到達点の様な楽曲群だともいえるわけで、デビューアルバム然としていないのも当然といえば当然です。
アルバム『The Cigavettes』は全体を通して絡み合う2本のギターと強力なリズム隊によって構成されていて、バンド全体の演奏で独特のグルーブを生み出すという点では先日ご紹介したFeeliesに通ずるものがあります。過去のクラシックなロックバンドの要素を細やかに散りばめて丁寧に紡がれたサウンドには、感心するほかありませんし、そのサウンドメイキングのレベルの高さは特筆すべき点だと思います。また、メロディ自体も親しみやすくシンプルな楽曲がほとんどで、そのメロディがサウンド全体が生み出すグルーブに乗る事で、高揚感がありダンサブルな印象さえ残しているのもまたCigavettesの魅力の一つだと思います。あとコーラスではHolidays Of Seventeen三浦太郎が全面的に参加していて、アルバム全編を通してコーラスワークが冴えまくっているのも印象的。Cigavettesは高い演奏能力を持ち全て英詩で書かれた歌詞であるが故に、今までもボーカルとその歌詞には賛否両論があったわけですが、このサウンドにはヤッパリ山本政幸の英詞のボーカルが乗るべきだと思うし、その事を認めさせる事が出来る一枚に仕上がっているのも嬉しいところ。
本来なら『The Cigavettes』の各楽曲についてもう少しレビューした方が良いのかもしれませんが、アルバムの特性を考えれば、個々の楽曲よりもアルバムを通して繰り返し楽しんで欲しい作品。待った甲斐はあった。やったぜCigavettes

The Cigavettes

The Cigavettes