The Feelies待望の新作『Here Before』で変わらないリズム

The Feeliesの1991年に発売された『Time for a Witness』以来の新作『Here Before』を何度も聞いています。
Feeliesといえば世間的には1980年に発売されたファーストアルバム『Crazy Rhythms』の印象が強く、実際にweezerのデビューアルバム『Blue Album』のジャケットのモチーフにもなった事で、90年代にも再評価された訳ですが、Feeliesの魅力が存分に発揮され、作品に味わいが出たのはセカンドアルバム『The Good Earth』以降だと思います。個人的にも『Crazy Rhythms』以上にセカンドアルバム『The Good Earth』『Only Life』には深い思い入れがあります。
さて、約20年振りとなる新作『Here Before』Feeliesは、長い時を経たとは思えないほど変わらなくも瑞々しいサウンドを聞かせてくれており、Feeliesの新作を待ち望んでいたリスナーを満足させているのではないかと思います。Bill MillionGlenn Mercerの独特のギターが響きあい、心地よいカッティングでグルーヴを生み出す特有のFeeliesサウンドは円熟味を増し、ギターサウンドを支える安定したリズム隊が役割をシッカリと果す事で、完全なるFeeliesサウンドを聞かせてくれています。元よりリズムに聞きどころがあったFeeliesですが、今作では全ての楽器が渾然一体となる事で、完成度の高いバンドアンサンブルを生み出し、アルバム一枚をあっという間に聞かせてくれます。『Here Before』は全体的にメロディもポップな仕上がりで取り付きやすいアルバムでもあるのですが、特にメロディアスなギターが楽しめる「Way Down」「Change Your Mind」「Time Is Right」などは、牧歌的でどこかいなたさがあるのに一方では非常に洗練されていますし、全ての楽曲がアグレッシブで暖かい不思議な魅力に満ち溢れています。
同時代にアメリカのカレッジロックシーンを切り開いたR.E.M.と足並みを揃える様に、この2011年にニューアルバムを届けてくれた事にも繋がりを感じますし、辿ったキャリアは大きく違いますが、同じ文脈の中で語られる2つのベテランバンドが健在で快作を仕上げてきた事を嬉しく思います。とにかくファーストアルバムだけでなくFeeliesのアルバムは全て再評価されるべきだと思いますので、興味にある方はぜひどうぞ。13曲で45分。コンパクトにまとまった必聴盤。

Here Before

Here Before


という事でFeeliesのアルバムを発売順に並べてみる。
Crazy Rhythms

Crazy Rhythms

The Good Earth

The Good Earth

Only Life

Only Life

Time for a Witness

Time for a Witness