Jonnyの『Jonny』で溶け合った二つの才能
悪いものになるはずも無いNorman Blake(Teenage Fanclub)とEuro Childs(Gorky's Zygotic Mynci)のユニットJonnyのアルバム『Jonny』のご紹介。
親交のあったNormanとEuroの二人が作り上げたこの『Jonny』というアルバムは、僅か一週間程度でレコーディングされたらしく、非常にシンプルで飾り気の無いサウンドなのですが、二人のキャリアが凝縮された様なサウンドになっており、シンプルだからこそのメロディの素晴らしさが滲み出ているアルバムに仕上がりました。基本的にはメロディを活かしたシンプルなサウンドではあるものの、アルバムの冒頭を飾る「Wich is Wich」はまるでパブロックの様な掛け合いが楽しいクラシカルなロックチューンだし、エレクトロなサウンドがアクセントで取り入れられていたり、長尺の「Cave Dance」の様な楽曲があったりと、シンプルながらも様々なサウンドの隠し味の効いたサウンドはこの二人ならではのサウンドではないかと思います。
アルバムの中で一番耳に残るメロディを持つ楽曲はNorman作の「Circling The Sun」で、近年のTeenage FanclubのNormanの楽曲と比べても、引けを取らないどころか上回るといっても過言ではないほどの仕上がり。だけどアルバム全体を覆っている緩やかなサイケデリックはEuroの功績に他ならないでしょうし、Normanのメロディメーカーとしての才能とEuroのサウンドメイクとソングライターとしての才能が上手く溶け合い、この二人の音楽性の相性が想像以上に良い事も手伝って、単なる企画モノを凌駕した一つの作品としてのトータルクオリティをグッと高いものにしています。どちらかと言えばTeenage Fanclubのリスナーがこのアルバムを手にする事になるのでしょうが、Euro Childsの方もソロアーティストとしてのキャリアを順調に重ねており、素晴らしい作品を作っていたGorky'sでの活動を含めて、過小評価されている感は否めないので、Jonnyでの活動をキッカケにリスナーが広がれば良いのになと思います(自分も買い逃しているソロアルバムがあるので揃えないとね)。
国内盤にはボーナストラックが4曲収録ですが、UKで流通している盤にも同じくボーナストラックが4曲入り。中でも「Gloria」は名曲で、「Beach Party」はタイトル通りBeach Boysテイスト。ボーナストラックは先にフリーダウンロードされていたものですが、粒揃いの仕上がりですのでボーナストラックもぜひ聞いてみて下さい。
- アーティスト: ジョニー
- 出版社/メーカー: ホステス
- 発売日: 2011/02/02
- メディア: CD
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