British Sea Powerが『Valhalla Dancehall』で聞かせる知的なセンス

2011年が幕を開けて最初に買った新譜。British Sea Powerの新作『Valhalla Dancehall』のレビューでも。
前作『Do You Like Rock Music?』が2008年に発売され、その後にも1934年製作のドキュメンタリー映画「Man of Aran」の映画音楽を新たに製作した『Man of Aran』の発売がありましたので、リリースペースは速いと思うのですが、内容の濃い作品をBritish Sea Powerは発表し続けていると思います。British Sea Powerといえば、美しいメロディを持つ伝統的なブリティッシュバンドの系譜にありながら、パンキッシュな一面とウィットの効いた世界観を持ちえた面白いバンドだと思っていたのですが、今作『Valhalla Dancehall』British Sea Powerの持つ様々な音楽的要素がごった煮になりながらも、次から次に展開していくそのサウンドは圧巻の仕上がりだと思います。一曲目の「Who’s In Control」は硬質なギターが鳴り響くロックチューンで、彼らの持つ激しい一面を打ち出した楽曲。全体を通せば広がりのあるギターサウンドが印象に残る『Valhalla Dancehall』ですが、8曲目の「Living Is So Easy」の様に圧倒的なメロディを持った楽曲が素晴らしく、続く「Observe The Skies」も良質なメロディとアルバムを象徴するギターサウンドのバランスが取れた良曲で、綿密に構成されたサウンドスケープだけでなく、ポップミュージックの下地がシッカリと整っているのはBritish Sea Powerの大きな魅力の一つだと思います。
残念なのは英国ではRough Tradeを代表するバンドなのに、日本ではBritish Sea Powerは地味な扱いを受けている事もあって、その存在感が日増しに薄いものになっている事で、この様な良質なバンドをシッカリ評価出来なくなっている日本の洋楽事情は寂しいものがあります。今作も国内盤の発売が危惧されたのですが、3/23にホステスから発売が決定しています。British Sea Powerの場合は知性が感じられる歌詞の世界観を楽しめるバンドですので、やっぱり国内盤がお勧め。
日本のAmazonでは見つかりませんでしたが、2枚組のリミテッドエディションもあるのでそちらもお勧め。

Valhalla Dancehall

Valhalla Dancehall

ヴァルハラ・ダンスホール

ヴァルハラ・ダンスホール

ちなみに昨年発売されたEP『Zeus』はアルバム『Valhalla Dancehall』と曲の被りも一曲しかないですし、気に入った方はアルバム並みのボリュームが嬉しい『Zeus』もお勧めします。
Zeus Ep

Zeus Ep