Badly Drawn Boyの『It's What I'm Thinking Pt.1 - Photographing Snowflakes』で聞かせるチャームとストリングス

Badly Drawn Boyの新作『It's What I'm Thinking Pt.1 - Photographing Snowflakes』のご紹介。
昨年発売された『Is There Nothing We Could Do?』はTV番組のサントラでしたので、オリジナルアルバムとしてカウントするのは微妙なところで、その辺を考えれば『It's What I'm Thinking』は2006年の『Born In The U.K.』以来のオリジナルアルバムと言っても良いのではないかと思います。『Is There Nothing We Could Do?』が微妙な位置付けで発売された事もあり、日本のメディアもほとんどBadly Drawn Boyを取り上げなくなってきており、その活動があまり伝わってこなかっただけに、こうして新作が聞けるというのは嬉しい事であります。
さて、今作『It's What I'm Thinking Pt.1』は一聴した限りでは非常に地味でしっとりとした印象を受けます。これはアルバム全体が靄がかかった様で浮遊感のあるサウンドで占められているからであって、耳を奪うほどのキャッチーなメロディは無いですし、決して分かり易さが全面に出ているアルバムではありません。でも、聞いていくうちに引き込まれ、染み込んでいく様なBadly Drawn Boy独特の世界観は今作でも十分に発揮されているように思いますし、アルバムのトータルクオリティは相変わらず高いと思います。今作『It's What I'm Thinking Pt.1』にはシングルとなった「Too Many Miracles」を始め、「I Saw You Walk Away」「Pure Accident」の様に全体的にストリングスのアレンジが素晴らしい楽曲が収録されており、打ち込み色の強いサウンドがストリングスと絡み合う「This Electric」の様な楽曲も絶妙で、ストリングスを巧みに操る事で統一感のある世界感を構築しています。この世界観や音楽はBadly Drawn Boyの作る独自のものだと思うし、どこか寂しげだけど救いやチャームがあって、日々の他愛の無さを優しく歌い上げている点は一貫している様に思います。
『It's What I'm Thinking Pt.1』と名付けられている事からも分かる通り、作品は三部作の第一弾の様で、大手のEMIを離れたBadly Drawn Boyがデビュー時の様に、より自由な音楽活動に取り組めるのではないかと思うのですが、それと同時に自由な音楽活動が出来る環境を保つ為には、ある程度のセールスが必要になると思います。その意味では国内盤の発売の予定も無い今の状況はあまり宜しくないですので、興味のある方はまずは輸入盤からどうぞ。
Andy Votelによってコラージュされ再構築されたボーナスディスクが付いた2枚組を購入しましたが、まずは通常盤でも十分かもです。

It's What I'm Thinking: Photographing Sn

It's What I'm Thinking: Photographing Sn

It's What I'm Thinking

It's What I'm Thinking