The Drumsの『The Drums』がサーフ・ロックと形容されてしまう理由
ちょっとタイミングが遅いのですが、この勢いでThe Drumsのレビューでも。昨今のサーフ・ロック流行のきっかけを作ったバンドと言っても過言ではないDrumsですが、別の目線でレビューしたいと思います。
EP『Summertime!』を購入した時点では知らなかったのですが、Jonathan Pierceと前メンバーだったAdam KesslerがDrums結成の前に結成していたのがElklandというバンドだった事を知って、Drumsというバンドの見方が変わりました。というのもElklandというバンドのデビューシングル『Apart』も買っていたし、アルバム『Golden』にも期待していたのにコピーコントロールCDで発売されて酷くガッカリしたのを鮮明に覚えていたからです。今Elklandの曲を聞きなおしてみても2005年度のサウンドとしては先取りしていた印象を受けるし、Jonathan Pierceのスタイルは当時から既に確立していた様に思います。
ダンサブルなBlur風だと思っていたあの頃。とてもUSバンドには聞こえないし、この頃からベースは居ない。
その後、煌びやかさを封印してローファイなサウンドへシフトチェンジし、The Drumsとして再デビューを果すのですが、ダンスに対する意識は表立たずとも『The Drums』を聞く限りでは引き継がれており、表現方法の転換を図った末に辿り着いたサウンドだという事が分かります。Drumsのサウンドはサーフ・ロックと形容されるものの、例えばBeach boysのサウンドがダイレクトなルーツになっているかといえばそうではなくて、スタイルとして選んだものがたまたまサーフ・ロックと形容され、先取りし過ぎていたJonathan Pierceの感性がようやく時代に迎え入れられたという事ではないかと思います。こうしてバックグラウンドを考えながら聞くと、ネオアコサウンドにチープなシンセがシンプルに響いていた『The Drums』の内容も、非常に計算されて聞こえてくるから不思議なものです。EP『Summertime!』同様に『The Drums』も全編を通して一貫したポップネスに支えられており、ニューウェイブとネオアコを飲み込んだようなサウンドはご存知の通り、多くのリスナーに受け入れられました。鮮やかな再スタートを切ったDrumsですが、Elkland時代からJonathan Pierceとバンドを共にしていたAdam Kesslerの脱退もありましたし、このバンドの正念場は他の新人バンド以上にセカンドアルバムという事になると思います。ElklandからDrumsにシフトチェンジした様に新たな展開があるのか?その辺も暖かく見守っていきたいと思います。
今ならUS盤が出ているのでお買い求めやすいですよ。
- アーティスト: Drums
- 出版社/メーカー: Downtown
- 発売日: 2010/09/14
- メディア: CD
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