Fran Healyのソロアルバム『Wreckorder』から投げかけられた眼差し

TravisのフロントマンであるFran Healyの初めてのソロアルバム『Wreckorder』が発売されたのでご紹介。
まず、Fran Healyの顔が前面にプリントされたジャケットを見て、その風貌の枯れっぷりに驚き、偉く貫禄が出てきたなと思ったのですがFran Healyはまだ37歳なんですよね。Crispian MillsThe JeevasKula Shaker)も37歳だから、このジャケット写真で見る限りとても同年齢とは思えない。
とまあその辺はさて置き、アルバムの内容を書いていきたいと思います。発売前よりNeko CaseNoah and the WhaleTom Hobdenの参加、そして何と言ってもPaul McCartneyのゲスト参加が大きな話題を呼んでいたのですが、ゲスト陣の豪華さにとは対照的に、落ち着いたアコースティックサウンドが主体のアルバムに『Wreckorder』は仕上がっています。
先行シングルになった「Buttercups」こそ、Travisを髣髴とさせるメロディラインで、Travisとの共通点を感じさせるのですが、全体を通せばソフトロックと形容しても違和感の無い、柔らかで優しいサウンド『Wreckorder』は満ち溢れており、Fran Healyのボーカルは一貫して穏やかで、語りかける様に心に染みてくるのが印象的です。Paul McCartneyが参加した「As It Comes」は確かにベースラインが印象的な楽曲ですが、主役はあくまでもFran Healyのボーカルですし、Neko Caseとのデュエットである「Sing Me To Sleep」も絡み合う様な二人のボーカルが楽しめる楽曲で、『Wreckorder』Fran Healyの歌心を存分に堪能する事が出来ます。
アルバムタイトルの『Wreckorder』は、Travisから離れて慣習を壊すという(wreck the order)という意味が込められているそうで、確かにTravisとは違うアプローチでアルバムは構築されていると感じます。しかし、メランコリックだけど優しげなFran Healyのボーカルとその世界観はTravisに息づいているものと同質のものだと感じます。それは『Wreckorder』のジャケットか滲み出ているFran Healyのどこか悲しげだけど優しげな表情と眼差しとも繋がっている様で、Fran Healyの本質が零れ落ちたアルバムに『Wreckorder』が仕上がった事を象徴している様にも思います。

Wreckorder

Wreckorder