MGMTが『Congratulations』で見せたネオアコ度

MGMTのセカンドアルバム『Congratulations』がサイケだとか何だとかいう以前にネオアコサウンドだったのでご紹介。
MGMTといえばデビューアルバム『Oracular Spectacular』が大絶賛されて、あっという間に時代の寵児的な扱いをされたグループなのですが、個人的には世間の評判程には嵌りませんでした。という事で今作『Congratulations』に対しても過度な期待はしていなかったのですが、これが意外な程にポップな仕上がりで驚きました。プロデュースがSpacemen 3Pete Kember(Sonic Boom)でミックスにはDave Fridmannが名を連ねていますので、サイケデリックな路線に拍車が掛かるのかと思いきや、Spacemen 3の持つポップな一面を押し広げた路線で、面白い仕上がりになっています。冒頭の「It's Working」から「Song for Dan Treacy」への疾走感のある流れからネオアコ度の高い楽曲で、思いっきり期待を裏切ってくれており、全体を通してもその印象は変わらないままに45分に満たないアルバムが終わってしまいます。
もちろん中盤からサイケデリックサウンドが耳に残るようになり、プログレッシブな12分の大作「Siberian Breaks」の様な楽曲もあるので、あくまでもMGMTとしてのサイケデリックな路線を捨ててしまったというより、彼らの持つポップな一面が開花した様な作品だといえ、かなり思い切った方向転換ではあるものの、セカンドアルバムとしては上々の仕上がりの様に思います。あと、『Congratulations』Royal TruxJennifer HerremaLunaBritta Phillipsが参加していたり、曲名にDan TreacyBrian Enoを入れている時点で、かなり確信犯的に狙ったアルバムでもあり、まさに狙い通りの仕上がっている事からも、彼らのクレバーさを窺い知る事ができます。
この『Congratulations』は決して革新的な作品ではないのですが、MGMTの新たな可能性を打ち出す作品にはなっていると思うので、諸手を挙げて大絶賛のメディアにも共感出来ないのですが、前作との単純比較で作品を乏しているのにも違和感を感じてしまいます。個人的には前作『Oracular Spectacular』より全然好きな作品ですし、80年代にネオアコに胸をときめかせた世代の方にもお勧め出来る作品だと思いますので、興味のある方はぜひどうぞ。

コングラチュレイションズ

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