Plan Bが『The Defamation of Strickland Banks』で果した華麗すぎる転身

デビューした時はラッパーだったのにいつの間にかシンガーに転身していたPlan Bのご紹介。
デビューアルバム『Who Needs Actions When You Got Words』は本国イギリスではそれなりにヒットしたと思うのですが、日本では全くと言っていいほど話題になりませんでした。確かに地味ではあったもののまとまった内容で、ラッパーとしての今後にも期待は出来る内容だったと思うのですが、セカンドアルバムにして一気に方向を変えてきたのでビックリ。
セカンドアルバム『The Defamation of Strickland Banks』で全編に渡り披露されているのはPlan Bのソウルフルな歌声で、モータウンを下敷きにした様なボーカルアルバムに仕上がっており、全く別の次元のサウンドを聞かせてくれています。確かにラップを披露している部分もあるので、前作の名残自体は残っているのですが、面白いのはどちらかといえばロックなアプローチが増えて来ている事で、この間口が広がったアプローチ自体は成功しています。ラッパーからシンガーに転身するパターンは今までにあまり無かったと思いますし、クオリティの高いラップのパートはアクセントとしてもしっかり機能している為、一辺倒でありがちなR&Bテイストのアルバムにはなっていないのが、Plan B最大の強みだと思います。
ミクスチャーロックの要素を上手く消化した「Stay Too Long」、自身最高のセールスを上げたソウルフルな「She Said」の両シングル曲に、思いっ切りモータウンに振れた名曲「Free」あたりが『Who Needs Actions When You Got Words』の聞きどころで、コンセプトアルバムでありながらも非常に分かり易く歌に重きを置いた内容が多くの人の支持を集めたのだと思います。その結果、今作『The Defamation of Strickland Banks』は見事にUKチャート1位に輝いていますので、Plan Bは華麗な転身を経て大成功を収めた珍しいタイプのアーティストだといえると思います。見た目はEminemの様なPlan Bですが、R&Bやソウルのジャンルに囚われる事無く、例えばJamie Tの様にロックリスナーにも受け入れられる可能性を持ったアーティストだと思うので、今後の展開にも大いに期待したいと思います。

ボーナスディスク付きの限定盤もお勧め。国内盤の発売も待たれます。

Defamation of Strickland Banks: Deluxe

Defamation of Strickland Banks: Deluxe