The Lightning Seedsから届いた10年振りの『Four Winds』

The Lightning Seedsの久し振りのアルバム『Four Windsは、あまり日本では話題になっていないと思うのですが、非常に良質な作品だったのでご紹介。
Lightning SeedsといえばIan Broudieを中心としたバンドで、1989年に発売されたデビューアルバム『Cloudcuckooland』から 1999年に発売された『Tilt』までに五枚のアルバムを発表。その後、Ian Broudieはソロアルバム『Tales Told』を発売したり、プロデュースワークで名前を見かけていたのですが、Lightning Seeds本体は活動休止状態でした。フットボールファンにはお馴染みの「Three Lions」が何度も再シングル化されて、その度に話題になってはいたのですが、オリジナルアルバムである『Four Windsは実に10年振りの発売で、ファンにしてみれば正に待望のアルバムといえると思います。
アルバムは穏やかな「4 Windsで幕を開け、その後も緩やかなサウンドにエレクトロな要素を含ませながらアルバムは進行していきます。ドラマティックに曲調が変化するのは中盤の「Don't Walk On By」から「The Story Goes」で、アルバムは一気に表情を変えます。「Don't Walk On By」はストリングスアレンジもダイナミックでアップテンポな曲調で、続く「The Story Goes」The Whoを思わせる様なギターにクラシカルなメロディが乗って来る一番のポップソングに仕上がっています。『Four Windsは10曲30分程度という短いアルバムで、あっという間に聞き通すことが出来るのですが、濃度は凄まじく高い作品で、以前のLightning Seedsサウンドと比べるとキラキラとしたサウンドや瑞々しさは薄れているといえますが、サウンドの精度も高くなっており、全体的には愁いを帯びたサウンドなのに、懐かしさやポップセンスが同居する絶妙のさじ加減でアルバムが形作られています。
聞けば聞くほどに新たな発見があって味わい深い作品でもある『Four Windsは、キャリアのあるバンドが作り上げた良質のカムバック作というだけでなく、目新しいサウンドでなくても精度を高める事で素晴らしい作品を作り上げる事が出来るというお手本の様なアルバムなので、Lightning Seedsをご存知な方もそうでない方もぜひぜひどうぞ。

Four Winds

Four Winds

ちなみにLightning Seedsには、過去にZak StarkeyChris Sharrockが在籍した事があるというoasisファンにとっては堪らないバンドでもあります(豆知識)。