Pugwashの『Giddy』はポップマニアに届くべき編集盤

Pugwashの名刺代わりの編集盤『Giddy』が届いたのでご紹介。
Pugwashアイルランドのバンドでそのキャリアも長いのですが、基本的に音源がアイルランドからのリリースで日本ではほとんど流通していなかった為、知名度が全く無かったバンドです。そのバンドがXTCAndy Partridge主催のApe Recordsと契約を果し、めでたく発売されたのが今作『Giddy』で、過去の音源を再編集したものですが、多くのポップマニアに届くべき音源だったのでご紹介します。
Dave Gregoryがストリングスのアレンジを担当していたりAndy Partridgeとの共作があったりと、所属レーベルを超える程にXTCと関連が深い事から分かる通り、基本的なサウンドBeatlesの影響下にある英国伝統のポップスといった趣で、非常に安心感のあるサウンドになっています。ソングライティングを担当するThomas Walshは非常に能力の高いメロディメーカーだと思うし、何故今まで目立った活躍が見られなかったのかが不思議なくらいです(いやもちろん本国での知名度やミュージシャン内での評価は高かったのでしょうが)。サウンドもいきなりBeatlesな名曲「Apples」(タイトルからいかにも)から幕を開けて、その後もミドルテンポの曲やバラード調の曲を中心にアルバムは展開していき、Pugwashの最も得意とする落ち着いた曲調の楽曲で占められているのですが、童謡の様な中毒性のある「Mono Rail」の様なアプローチの楽曲も魅力的に響きます。『Giddy』はベスト盤的な意味合いも強いだけに楽曲も粒揃いで、リマスタリングが施される事によって全く違和感なく統一感を持って収録されているので、まさに名刺代わりの一枚になっていると思います。。
Pugwashの楽曲は分かりやすくシンプルなのが特徴で、歌詞にしても実にシンプルなものばかりなので、様々な音楽が行き交う中で逆に新鮮に映ります。その朴訥なポップセンスこそがPugwashの最大の魅力だともいえるのですが、ポップマニアが拾い上げないと絶滅してしまう恐れもある品種だともいえるわけで、この編集盤を機会に少しでも多くの人にPugwashの音楽が届く事を期待したいと思います。取り合えずXTCリスナーの人は買ってあげて下さい。どうぞ宜しくお願い致します。

Giddy

Giddy


ちなみにジャケットは騙し絵の様になってて凝った作り。パッケージもアナログ感に溢れています。