Boston Spaceshipsの『Zero to 99』で作られた99曲

Boston Spaceshipsといえば当ブログでもソロアルバムを何度か取り上げたRobert Pollard(Guided By Voicesが2008年に結成した新しいバンドで、メンバーはRobert PollardJohn MoenChris Slusarenkoを加えた三人組。2008年に結成されて『Zero to 99』が既にサードアルバムという事で相変わらず尋常じゃないリリースのペースです。
『Zero to 99』の特徴として挙げられるのが、ハードでアグレッシブなサウンド。ストレートにロックンロールに取り組んだ様な『Zero to 99』サウンドサウンドプロダクションもRobert Pollard関連の中でも整ったもの(といっても特有のエッジは失われていない)に仕上がっており、矢継ぎ早にポップなメロディで展開されるRobert Pollard節を基調としながらも、ギターバンドとしてもシッカリと成立している印象を受けます。Robert Pollardのソロ名義としての最新作『Elephant Jokes』もギターサウンドを主体としたロックアルバムだと思ったのですが、Boston Spaceshipsの方がバンドとしてのアンサンブルの強さを感じますし、ソロでの作品とも表現の棲み分けが出来ているようにも思います(いや、勿論基本的なメロディの質や方向性は同じですが)。
『Zero to 99』にはPeter BuckR.E.M)が参加している「Let It Rest For A Little While」(どことなくR.E.Mぽさが出ているのも興味深い)やSam CoomesQuasi)が参加している「The Comedianなどが収録されており、豪華なアーティストが参加しているのも特徴で、アルバムに外的な要素も加わっているのですが、その事よりも、楽曲そのものが持つパワー自体が耳に残り、全体を通して非常に若々しいサウンド『Zero to 99』は構成されています(きっと、Robert Pollardの事を全く知らない人が聞いたらインディーズギターバンドのデビューアルバムに聞こえるのではないかと思う程)。「Question Girl All Right」は名バラードだと思うし、「Meddle」なんて思わず「I Am the Resurrection」The Stone Roses)や「Know Your Enemy」Green Day)が始まるかの様なイントロのドラムで、驚くほど瑞々しい楽曲に仕上がっています。また、クレジットを見てみると盟友Todd Tobiasはボーカルのレコーディングで貢献しているようで、効果的なコーラスワークやSE的なボーカルの使い方が耳に残るのは、やはりTodd Tobiasの貢献度が高いのではないかと思います。
ちなみに今作『Zero to 99』は以下の様に曲の番号が振ってあって(実際は05が二曲目、13が三曲目)、アルバムタイトルを示しているのだと思うのですが、もしかしたら99曲のストックの中から収録曲を抽出しているのかもしれませんね。ちょっとこの辺はソースを見つけ切れなかったので詳細が分からないのですが、楽曲を量産し続けるRobert Pollardならではのコンセプトと魂が宿っているようにも感じます。

01 Pluto The Skate
05 How Wrong You Are
13 Radical Amazement
22 Found Obstruction Rock N' Rolls (We're The Ones Who Believe In Love)
35 Question Girl All Right
36 Let It Rest For A Little While
47 Trashed Aircraft Baby
50 Psycho Is A Bad Boy
59 Godless
63 Meddle
71 Go Inside
73 Mr. Ghost Town
83 Return To Your Ship
90 Exploding Anthills
95 The Comedian
99 A Good Circuitry Soldier

今作もジャケットはRobert Pollardによるコラージュ作品で出来が良いですね。歌詞カードの柔らかい質感も含めて、簡素化されていくパッケージ販売の中でも良心を見せていると思います。

Zero to 99

Zero to 99