Daniel Johnstonの『Is And Always Was』はJason Falknerとの好相性を発揮した一枚

Daniel Johnstonの久しぶりの新作スタジオアルバム『Is And Always Was』をご紹介。
Daniel Johnstonの純粋でチョッピリ奇妙なバイオグラフィーに関しての詳細は長くなるので割愛。悪魔とダニエル・ジョンストンという素晴らしいドキュメンタリー映画もありますし、そちらをぜひ見て頂ければと思います。2000年代の音楽ドキュメンタリー映画の傑作です。
という事で作品のレビューを簡単に。今作『Is And Always Was』はミュージシャンズ・ミュージシャンであったDaniel Johnstonが大きな転換を迎えた作品で、その事に尽力したのが今作のプロデューサーであるJason FalknerDaniel Johnstonと言えば宅録の鏡の様なアーティストで、チープなサウンドの宝箱の中から取り出した宝石の様なメロディが特徴的だったのですが、今作『Is And Always Was』Jason Falknerの手によって新たに息を吹き込まれたかの様に新鮮なサウンドで、程良い処理が施される事で今までの作品とは全く違う表情を見せる作品となっています。『Is And Always Was』はジャケットの写真から判断すると恐らくJason Falknerの自宅のスタジオで録音されていると思うのですが、Beatlesで結びついた二人の相性は良かったようで、非常にバランスが良く開放感のある作品に仕上がっています(まさかDaniel Johnstonの作品でバランスが良いとか書くとは思わなかった)。宅録に有りがちな閉鎖的で篭った印象は『Is And Always Was』には感じられず、今まで希薄だったリズムに対する意識が強まり、それでいてDaniel Johnstonの最大の魅力でハートウォーミングなメロディとサウンドはそのままなので、この二人の作品作りは非常に上手く機能しているといえると思います。2003年に発売された『Fear Yourself』Mark LinkousSparklehorse)のプロデュースによって肉付けされたものでしたが、Daniel Johnstonの本質に近いプロデュースという事になると、やはり今作『Is And Always Was』になるのではないでしょうか。
「Fake Records Of Rock And Roll」から「Queenie The Doggie」の流れも良いけど、ドリーミーに展開される「High Horse」からキュートなポップソング「Without You」の鍵盤が印象的な2曲、そしてラストに収録されたDaniel Johnston流ながらもダイレクトにBeatlesを感じるロックバラード「Light Of Day」辺りが個人的にはベストトラック。

Is & Always Was (Dig)

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悪魔とダニエル・ジョンストン [DVD]

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Daniel Johnston - High Horse