Bowling For Soupの『Sorry for Partyin'』は清く正しいパワーポップアルバム

weezerの新作『Raditude』を取り上げた勢いでBowling For Soup『Sorry for Partyin'』のレビューでも。
何度も書いているのですがBowling For Soupといえば、どこからどう見てもドラマーな人がギターを弾いている事で有名なバンドで、パワーポップやポップパンク界隈のバンドの中ではピカイチの存在感を誇っています。Bowling For Soupは15年のキャリアがありますが、サウンドは一貫してパワーポップ。当たり前の様に今作『Sorry for Partyin'』パワーポップを突き詰めていった内容になっています。先行シングルである「My Wena」はおバカ炸裂(PVはおバカの極み)のアメリカン・ラブストーリーソングでBowling For Soupが最も得意とするタイプの楽曲。その他の収録曲も基本的には明るくて清く正しいパワーポップサウンドで、全てを笑い飛ばすようなラブソングとパーティソングが詰め込まれています。
ダンスアルバムを作るロックバンドを皮肉った「A Really Cool Dance Song」モーグとホーンが交じり合う掛け声の楽しいセカンドシングルの「No Hablo Inglés」、そして「My Wena」へと続く流れで一気に引き込まれ、その後も見事な復活を遂げたFastballTony Scalzoをゲストに迎えたポップさが眩しいラブソング「I Don't Wish You Were Dead Anymore」があったりと、聞かせどころ満載でアルバムは進行します。アメリカをちょっぴり憂う様な歌詞をラブソングに引っ掛けている「America (Wake Up Amy)」(この曲にはAllのボーカルも務めたScott ReynoldsNerf HerderParry Grippが参加している)やリズムパターンも面白く新しい側面を見せる「I Gotchoo」も良い曲ですね。
国内盤のボーナストラックになっている「Belgium Polka」では、本職のポルカバンドBrave Comboをゲストに迎えている事からも分かる通り、この『Sorry for Partyin'』の根底にあるのは徹底的にやる事。変わらないスタイルで徹底的に楽しい楽曲を作り続けるBowling For Soupの楽曲を聞いていると、色々と試行錯誤しているアーティストを置き去りにする程の生命力を感じるし、Bowling For Soupこそが継続を力にしている典型的なバンドなのだと感じます。
プロデュースは共にレーベル(Crappy Records)を設立したLinus of Hollywoodと共同で行っており、Bowling For Soupの持ち味を完全に引き出しています(モーグやキーボードサウンドが印象的で効いているのはLinus of Hollywoodの貢献度が高いと思われる)。Bowling For Soupの中心人物であるJarret Reddickは優れたソングライターですが、今作『Sorry for Partyin'』を聞く限りではプロデュースに加えて幾つかの楽曲で共作を果しているLinus of Hollywoodは最高のパートナーになっていると思うし、今まで以上にその活動に勢いが加わるのではないかと思います。
ボ−ナスDVDには名作PVが多数収録されたPV集が付いているので必見。国内盤にはJarret Reddickの全曲、全PV解説付きなのでお勧め。

ソーリー・フォー・パーティン~ジャパン・スーパー・エディション(DVD付)

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