Girlsの『Album』がインディーズロックシーンで受け入れられる理由

各方面から、その凡庸すぎてインターネット社会には適さないであろうバンド名(Girlsの場合はユニット名と言った方が良いのかもだが)とアルバムタイトルを突っ込まれているGirlsのデビューアルバム『Album』(彼等以上に検索し難いのはDogsというバンドだけ。あとJamesも検索泣かせ)。全く前情報を入れずに勝手に西海岸のポップバンドと思って購入した自分にしてみると、期待を裏切られながらも興味深い内容だったのでご紹介したいと思います。
中心メンバーであるChristopher Owensが幼少期をカルト教団で過ごしていたという事で、どうしてもそのバイオグラフィーが注目を集めているのですが、その辺の情報はさて置き、『Album』サウンド自体は基本的にシューゲイザーとサイケを行き来するローファイなサウンドで取立て目新しいものではありませんでした。目新しさはないもののインディーズロックを好んで聞く人達に受け入れられる要素はしっかりと備わっており、その要点を突いた様に確信犯的なサウンドが話題になっているのも分かるような気がしています。個人的にはIggy Popが浮かばない「Lust for Life」ギターポップテイストの「Laura」や西海岸ぽさが滲み出ている「Big Bad Mean Motherfucker」(この曲はBeach Boys色が強いというよりパロディとかオマージュの域)、緩やかなウォールオブサウンドを聞かせる「Ghost Mouth」などサウンドが多岐に及ぶ点が面白いと思っていて、様々なサウンドのバランス感覚には長けていると感じました(特にアルバムの前半部は充実している)。全体的に篭ったようなサウンドとボーカル(ちょっぴりコステロ風)は好みが分かれると思うのですが、そこからの開放される瞬間をもっと描き出す事が出来れば、例えばSuper Furry AnimalsFlaming Lipsの様に、ひとつのインディーズバンドの枠を飛び超えて、様々なサウンドを取り込んだバンドとして末長い音楽活動を期待出来るのではないかと思います。Girlsはそんな可能性を十分に秘めた素材型のバンドだと思います。

Album

Album

国内盤はEmmy The Greatと同じくよしもとのレーベルから。独立独歩で素晴らしいですな。
ALBUM

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