Beatlesの『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』Stereoリマスター盤の雑感

という事でBeatles『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』Stereoリマスター盤を聞いています。『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』に関しては前情報が物凄くて、聞く前から何となく気おくれしていたのを覚えています。ロック史において最も影響力を持った作品とか、ロックの金字塔とか、これを聞かずしてBeatlesを語れないとか、まあそれはそれは大変な文句が並んでいるわけじゃないですか。こりゃ『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』を聞かないとヤバイぞという雰囲気すら感じていました。だけどいざ聞いてみてもさほど実験的な印象もなかったですし、むしろ「Lucy In The Sky With Diamonds」「When I'm Sixty-Four」から「Lovely Rita」の流れのようにポップな楽曲に耳を奪われている間にあっという間にアルバムが終わってしまう印象を受けました。勝手に壮大な作品をイメージし過ぎた為か、自分にとっての『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』の第一印象は非常にあっさりとしたもので、これが歴史的なコンセプトアルバムだという感想を持つ事はありませんでした。
『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』はジョージの印象の薄さが特徴的で、「Within You Without You」の一曲しかリードボーカルを取っていないし、ギタープレイでもほとんど見せ場が無いという有り様。今聞いても『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』はポールが主体のアルバムという印象は変わらないし実際にそうなのですが、「A Day In The Life」でのジョンはポールの共同作業(というより融合に近いかも)においてプライドと才能を惜しみなく発揮していますね。恐らくレノン・マッカートニーの仕事としては最後の大仕事だったと思うし、その背景と出来栄えから考えても、この曲がBeatlesを語る上で外せない一曲になっているのは必然的ではあります。
『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』がコンセプトアルバムとして語られるのは、その個々の楽曲が持つストーリー性によるところが大きくて、Beatlesのアルバムの中でもハッキリとしたストーリーとコンセプトを持った楽曲が並ぶ事でコンセプトアルバムとして成立している印象も受けます。こんな事書くと怒られそうですが、『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』サウンド自体には統一感はあるのですが、純粋な意味でのコンセプトアルバムとしては他にも優れたアルバムは沢山存在しているとすら思っています(例えば60年代終わりからのKinksとか)。じゃあこの『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』Beatlesのアルバムの中で劣っているかといえば決してそうではなくて、サウンドに対する探究心ではBeatles以上のバンドはいないと思うし、その事実が一番分かりやすく表現されているのが『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』だと思います。だからもっとコンセプトアルバムという事に固執せずに、Beatlesが追い求めたサウンド表現の自由さとその楽曲自体のストーリーに注目してみると、また違う印象で『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』を聞く事が出来ると思います。時代の嗅覚に優れていたBeatlesによってサイケデリック全盛期に産み落とされた優れたストーリーアルバム。自分はそんな捉え方をしています。
リマスターによって音の洪水とも形容される様々なサウンドの細やかな部分が聞き取れるようになっており、このアルバムもリマスターによって大きな恩恵を受けていると思います。やっぱりポールのベースは迫力あるし、イントロ、間奏、アウトロで聞こえてくる情報量が一気に増えたように感じます。という事で次は『Magical Mystery Tour』ですね。

SGT.PEPPER'S LONELY HE

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