Beatlesの『Revolver』Stereoリマスター盤の雑感

という事でBeatles『Revolver』Stereoリマスター盤を聞いています。ご存知の通り、『Revolver』サイケデリックアルバムとして評価されており、後世のバンドに大きな影響を与えた一枚という事になっているのですが、個人的には少し違う印象を持っています。あくまでも『Revolver』『Rubber Soul』の延長線上にあったと思うし、その先には『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』があったわけですから、過渡期というか成長過程の一枚だったのではないかと思っています。実験的な要素を取り入れていった結果としてサイケデリックに仕上がったという部分もあると思いますし、意識的にサイケデリックな要素を導入した作品ではあるものの、世間で言われているほど完成度の高いアルバムでは無いような気もしています。
楽曲の中では「Eleanor Rigby」を聞いた時の驚きが凄くあって、それまでどちらかと言えば 地味というか甘いイメージを抱いていたポールへの印象が一変したのを強く覚えています。ストリングスのアレンジが大胆で力強いのにポップで、ストリングス=クラッシックという安易なイメージが吹っ飛んだし、「Eleanor Rigby」という耳馴染みの無い単語の響きもまたカッコ良くて興奮したのを覚えています。『Revolver』に収録されているポールが中心になって作られたと言われる楽曲は全て白眉の出来で、「Eleanor Rigby」、「Here, There And Everywhere」、「Yellow Submarine」、「Good Day Sunshine」、「For No One」、「Got To Get You Into My Life」とバラエティに富んだものになっており、Beatlesのバンドとしてのバランスが変動してきたのが分かります。世間ではTomorrow Never Knowsなイメージも強く、サイケデリックアルバムとして評価される一方、個人的にはこのアルバムは優れたバラードが多く収録されたアルバムであり、バラードやミドルテンポの曲こそが『Revolver』の核になっていると思っていて、その中に「Here, There And Everywhere」という名曲がある事でより一層輝きを増していると感じています。
4人のバランスが変化してきた事と、『Rubber Soul』までに強く感じたソウルやR&Bの要素が薄れた事が『Revolver』からはハッキリと感じられてきた為、自分にとっては大好きな楽曲達が収録されたアルバムではあるものの、心情の上ではちょっぴり複雑なアルバムでもあります。
リマスター盤によって弦楽器や鍵盤、ブラスの音により立体感が出てきていると思うので、その辺に耳を傾けて頂けたらより一層『Revolver』を楽しむ事が出来るのではないかと思います。次は『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』になるでしょう。

REVOLVER

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