Beatlesの『Rubber Soul』Stereoリマスター盤の雑感

という事でBeatles『Rubber Soul』Stereoリマスター盤を聞いています。多分に洩れず『Rubber Soul』というのはBeatlesの作品の中でも深い思い入れがある作品で、自分にとっては初めてBeatlesをアーティストとして意識した作品。覚えている第一印象は生々しくて暗い音楽。明るくて軽快なBeatlesサウンドはそこにはなくて、一気に深化した印象。だけど聞いていくうちに耳に馴染んでいく。恐らく、多くのBeatlesリスナーが感じた事と同じ事を感じていました。
「Drive My Car」、「Norwegian Wood (This Bird Has Flown)」、「You Won't See Me」とジワジワと上がりながら展開された後の「Nowhere Man」の開放感が大好きだし、その瞬間に『Rubber Soul』の魅力は集約されていると思います。全体を通して混沌と開放が繰り返される『Rubber Soul』にはやはりドラッグ的な魅力がある。意識的にサイケデリックが導入された『Revolver』より『Rubber Soul』の持つ潜在的サイケデリックの方が刺激的に感じる時すらあります。ジョンとポールの作品のバランスも絶妙で、そこにジョージの「Think For Yourself」とこの時期の代表曲でもある「If I Needed Someone」が肩を並べようとしている事、そしてアルバムの真ん中にしっかりとリンゴがボーカルをとる「What Goes On」が存在感を示している事で、4人のバランスが奇跡的に保たれながら完成度の高い作品に仕上がっているのが素晴らしいと思います。たとえ彼らが「まがい物のソウル」と呼んだとしても、自分にしてみれば『Rubber Soul』は完璧なソウルアルバムだし、Beatlesに対して今まで抱かなかった様々な感情を抱かせてくれたアルバムとして鮮烈な印象を残し続けています。
「Michelle」の生々しさが如実に浮き出されて、ジョンの「Girl」での息遣いが、よりドラッグを想像させるものになり、「In My Life」の素晴らしいコーラスワークがクリアなサウンドで聞ける今回のリマスター盤は更に刺激的に『Rubber Soul』を楽しめる出来栄えだと思います。個人的にはここまで聞いてきたリマスター盤の中では一番リマスターの恩恵を感じる作品。次は『Revolver』を聞いてみたいと思います。

RUBBER SOUL

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