Beatlesの『Help!』Stereoリマスター盤の雑感

という事でBeatles『Help!』Stereoリマスター盤を聞いています。
『Help!』には色々と複雑な心境もあり、まずはその辺のお話を。今でこそBeatlesの音源の感想なんて書いていますが、このアルバムに収録された問答無用の大有名曲「Yesterday」を最初聞いた時って、あんまり印象が良くなかったんですよ。何か染みったれたというか元気の無い曲というか。音楽の教科書にも載っていましたし、間違いなくBeatlesの曲の中では一番耳にする曲ではあったんですけど、テープで何度聞いてもしばらくは全然馴染めませんでした。ついでに書くと「Help!」という楽曲に関しても当時流行っていたBananaramaのカバーが印象的で、ああそういえばこの曲もBeatlesの曲なんだっていう程度でした。という事で中学生当時の自分にとっては「Help!」「Yesterday」って印象的ではありましたが、それ程思い入れは無かったんです。だから、その数年後にちゃんと『Help!』のアルバムを買うまではその印象が続く事になります。
とまあ何となくマイナスな印象から入りましたが『Help!』の雑感です。
『Help!』というアルバムはA面が映画「Help!4人はアイドル」のサントラでB面が当時の新曲(カヴァー曲が2曲収録)という構成なので、アルバムとしての統一感は劣るのは確かで、どうしてもその楽曲自体にスポットが当たってしまう印象を受けていたのですが、それは今リマスター盤を聞きなおしても変わりません。Beatles For Sale』からの流れでフォーク・カントリー路線が継続された楽曲が多いのですが、全体的に取り散らかった印象を受けるのはその特殊な楽曲構成から考えれば仕方がないのかもしれません。「You've Got To Hide Your Love Away」「I've Just Seen A Face」なんてジョンとポールが同じものをインプットしても、アウトプットでこれだけ違うのかと思わせるし、その辺の対比を活かした構成になっていたらアルバムの印象も変わっていたと思うのですけどね。やっぱり「Help!」が強力すぎて、この曲でアルバム自体のイメージが語られてしまいがちにはなってしまいます。「Help!」という楽曲の凄さはやっぱりそのフレーズの載せ方にあると思っていて、あのメロディにあれだけ過不足無く歌詞が載っているが凄いですね。しかもコーラスのメロディも負けず劣らず素晴らしいので、その素晴らしいフレーズ同士が交差する瞬間に奇跡が生まれているのだと思います。
このStereo盤は1987年のCD化の際にジョージ・マーティンによってリミックスされた音源をリマスターしたものなので、CD音源に聞きなれた耳には非常に違和感無く聞けますし、単純にリマスターされてクリアになったサウンドを楽しめると思います。『Help!』に関してはThe Beatles In Mono』に入っているオリジナルミックスのステレオとモノを聞き比べてみると、もっと新たな発見があるのかもしれませんね。という事で次は『Rubber Soul』になるのだと思います。

HELP!-STEREO REMASTERE

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