Beatlesの『Beatles For Sale』Stereoリマスター盤の雑感

という事でBeatlesBeatles For Sale』Stereoリマスター盤を聞いています。BeatlesBeatles For Sale』に関してはその音楽以前にジャケットが大好きです。4人の憂いの帯びた表情が有名なジャケットで、その全体の色味も好きなんですが、何よりもこのジャケットには4人の前に物(恐らく植物)が写り込んでいるじゃないですか。手前がかなりボケているという事は、ピントを4人に合わせて絞りを開放に近い状態で撮影しているのだと思うのですが、普通のジャケット写真(少なくともアイドル然としていたBeatlesのイメージでは)なら、顔だけスポットが当たるように手前の邪魔なものはどかして撮る筈なんですよ。だけど、あのジャケットはそうじゃなくて、俗世の中というか万物の中のひとかけらであるBeatlesという感じがします。それがアイドルからアーティストに進化していくアルバムの内容も図らずとも暗示しているような気がして、非常に趣深いと思います。
おっとジャケットの話はこの辺で。
Beatles For Sale』の内容に触れていきたいと思います。このアルバムはジョンがBob Dylanに影響を受けていた時期の作品といわれており、冒頭から非常に後ろ向きな歌詞が並んでいます(Beatles For Sale』というタイトルからしてもね)。歌詞を含めて決して明るい内容ではないのですがメロディ自体はポップですし、カントリー・フォークの要素が強いものの非常にBeatlesらしいアルバムといえると思います。ご存知の通り、このアルバムは『A Hard Day's Night』発売後にクリスマス商戦に間に合わせる為に急ピッチで作られた作品で、カバー曲の収録が復活しているのですが、そのカバー曲に「Rock and Roll Music」「Mr. Moonlight」がありますし、むしろカバー曲によってアルバム全体のバランスや流れが良くなっているので、決してアルバムの評価を落とすものではないと思います。悲しいかなこのアルバムにはいわゆる大ヒットシングルが少ない為、不当に評価が低いですが、最高のロックンロールバンドだったBeatlesが次のステップへ移行した事がハッキリとわかる重要な一枚だと思っています。そしてこのアルバムはアコースティックギターの響きを中心としたギターサウンドが印象的なアルバムでもあるので、ギターがクリアになった今回のリマスターでは最高のギターサウンドを楽しむ事が出来ます。という事で次は『Help!』を聞いていきますかね。『Past Masters』の雑感をどうするか思案中。

BEATLES FOR SALE

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