Beatlesの『A Hard Day's Night』Stereoリマスター盤の雑感

という事でBeatles『A Hard Day's Night』を聞いています。人々の印象に『A Hard Day's Night』が代表的なBeatlesのアルバムとして残っているのは、このアルバムが唯一全曲がLennon - McCartneyのクレジットである事(初の全曲オリジナル楽曲でもある)、そしてその印象に残るジャケットや邦題によるところが大きいと思います。ジョンが主導で作られた曲が大半を占め、初期のBeatlesがジョン中心のバンドだった事もハッキリと分かり、『A Hard Day's Night』はジョンの才能が爆発した作品という様な捉えられ方もされていると思います。個人的にはカバー曲が収録される事で成り立っていた4人のバランスが少し崩れている作品(映画で主演しているリンゴのリードボーカルが無い)でもあるので、その辺のBeatlesならではの特色は他のアルバムに比べると薄れているように感じます。尖った見方をすれば、人気の絶頂を極めた超多忙なBeatlesが、ジョンの頑張りで何とか全曲オリジナル楽曲のアルバムを発売出来たという印象もあります(実際にアナログでいうところのA面7曲・B面7曲で統一されていたアルバム収録曲が『A Hard Day's Night』に関してはB面が6曲。その為、アルバムの収録時間自体も他のアルバムに比べて少しだけ短い)。
リマスターの感想としては、やはりStereo盤は音の分離がハッキリしている事が印象に残ります。しかしながら前2作は2トラック録音で『A Hard Day's Night』からは4トラック録音になっていますので、ステレオ盤として本当の意味で楽しめるのは『A Hard Day's Night』からではないかと思います。様々な楽器の音の細部をハッキリと感じられるのは、このアルバムからなのではないでしょうか(音のレベルを少し上げて聞くと分かりやすいかもです)。『A Hard Day's Night』に関してはジョンとポールのコーラスの妙が楽しめる曲が多く収録されていますので、リマスターによってボーカルの輪郭がハッキリした事は喜ばしい事だと思います。「I'll Cry Instead」「Help!」に繋がるようなメロディの乗せ方とか、「If I Fell」「In My Life」「And I Love Her」「Yesterday」に繋がっていく事を考えれば中期Beatlesの雛形になる要素が満載で興味深いです。「You Can't Do That」のジョンのギターソロも最高。次はBeatles For Sale』を聞きたいと思います。

A HARD DAYS NIGHT-STER

A HARD DAYS NIGHT-STER