『JUDY AND MARY 15th Anniversary Tribute Album』をずれたタイミングでレビューする
実はBruce Springsteenのトリビュートアルバムのレビューを書こうと思ったのですが、二枚組だったので聞き込むのに時間が掛かりそう。という事で少し前の音源になりますが、JUDY AND MARYのトリビュートアルバムの感想でも書こうと思います(良く分からない代替案)。一応購入する前は「気まぐれロマンティック」から評価が一変したいきのもがかりとPUFFY目当てでその二組が1曲目と2曲目に収録だった為、購入に一抹の不安を覚えたのですが、全部聞き終えた結果、非常にまともな仕上がりだったのでひと安心。
曲順毎に感想を適当に。いきものがかりの「クラシック」は、原曲に忠実なカバーながら途中で「気まぐれロマンティック」のサビを無理やりに詰め込んだりと遊び心も。吉岡聖恵の声は人を不快にさせない普遍的な声で、デビュー時はここまで売れると思っていなかった自分の眼力の無さが憎い。
PUFFYの「motto」はいかにもな感じの選曲勝ち。一番自分達のイメージに近い曲を選ぶというカバー曲の王道をいっています。
mihimaru GTの「Over Drive」はYUKIのボーカルの伸びやかさを際立たせてしまっている感があるものの、アレンジで何とからしさを出そうと努力したのは認められます。
奥田民生の「散歩道」は奥田民生にしてはささやかなアレンジを施してあるのが面白くて好カバーでしょう。奥田民生はカバー曲多いですが酷いカバーというのは聞いた事が無い。予想通りの安定感。
半沢武志(FreeTEMPO)の「RADIO」はまあお洒落な感じです。
school food punishmentの「Brand New Wave Upper Ground」はまあ爽やかな感じです。
HALCALIの「ラッキープール」は彼女等の得意分野ですが原曲を大事にし過ぎている感もあり、もう少し崩しても良かったかなと。この辺はサンプリングではなくカバーという事なのでしょうが。
SCANDALの『DAYDREAM』は凄くソニーな感じで、Mステでびしょ濡れになって歌ったら良いと思います。
木村カエラの『Happy?』は選曲の妙というか捻くれた感が感じられるのですが、もはや彼女の場合は逆に真正面から行った方が新鮮になってしまうのが皮肉。
中川翔子の「そばかす」はこのアルバムに参加するという事自体が叩かれていたのですが、アニソンという観点からはぶれていないのは凄い。歌唱法に特有の癖があり、その辺がYUKIのボーカルとは対照的なので、忠実にカバーしているようで実は全く別物になっていますね。
ミドリの『ミュージック ファイター』は一般的なJUDY AND MARYのリスナーからすると聞き難い事この上ないと思うのですが、「大阪のいびつなJUDY AND MARY」の面目は躍如。声質は一番似ている。
大塚愛の「LOVER SOUL」もどうかなと思っていたのですが、ファルセット多用で大塚愛でもYUKIでもない真ん中のボーカルで面白かったです。大塚愛って恐らく物凄く器用でモノマネの才能がある人だと思うのですが、このカバーに彼女の才能の本質と強かさを感じる事が出来ます。実に興味深い。
シギの『KYOTO』は選曲も渋いですが、雰囲気出ていますね。というかシギというアーティストを初めて聞いたのですがオリジナルも聞いてみたいと思いました。
スネオヘアーは「小さな頃から」は意外とオリジナルに近くて、彼の独特の飄々さには合っていますね。
そして最終曲が真心ブラザーズの「ドキドキ」というわけで完全に当てられた感はあってホッコリしますが、ちゃんと真心ブラザーズのトリビュートアルバムのYUKIが歌った「BABY BABY BABY」に対するアンサーソングにもなっているのも良いのではないかと思います。
とまあ一応ざっくりと感想を書いてみましたが、それなりに曲順にも流れがあって通して聞くと悪くないです。というかこの手のアルバムの中では良く出来ている部類になると思います。どうしても日本のトリビュートアルバムはレコード会社色が強くなる(今回の場合ソニー色)のですが、その割にはアーティストのバランスは悪くないので、JUDY AND MARYに強力な思い入れが無ければ楽しむ事が出来ると思います。個人的にはエイベックスから乗り込んできた大塚愛さんは色んな意味で凄いと思いました。以上、ザックリ感想。ちょっと辛いですが悪意は御座いません。