Eelsが『Hombre Lobo』が聞かせる髭以上の存在感

Eelsのアルバム『Hombre Lobo』が久しぶりの快作&キラーチューン収録だったのでご紹介。

前作『Blinking Lights and Other Revelations』は名曲「Hey Man (Now You're Really Living)」も収録された良作だったにも関わらず、ダブルアルバムの大作だった事もあって、いまいち盛り上がりが感じられなかった(特に日本では)為、今後の活動の方向性を心配していたEelsなのですが、今作『Hombre Lobo』は12曲入りで40分とコンパクトにまとめられており、原点回帰な素晴らしいカムバック作ともいえる内容でした。どちらかと言えば今作『Hombre Lobo』はソウル・ブルーズ・フォーク色が強いといえる内容なのですが、その中に混じって強力なキラーチューンが収録されており、美しいメロディも際立つ作品となっています。まず飛びぬけているのが11曲目の「Beginner's Luck」で、モータウン調のサウンドEの枯れたボーカルが乗ると何ともいえない趣があり、強力な一曲に仕上がっています。
今作『Hombre Lobo』は欲望(desire)をテーマにしたコンセプトアルバムになっており、全体的なトーンにも統一感がある事はもちろんなのですが、二曲目の「That Look You Give That Guy」というメロディが際立つ楽曲のあとに「EelsLilac Breeze」というブギー調の強力なポップソングを配してあったり、8曲目の「What's a Fella Gotta Do」でハードな一面を覗かせたと思えば、9曲目の「My Timing Is Off」と10曲目の「All the Beautiful Things」では美しいメロディの楽曲を並べており、その後に「Beginner's Luck」でピークを迎えるというアルバムの流れ自体も素晴らしい作品になっています。
Eelsは中心人物のEことMark Oliver Everettの生き様というか、人生のストーリーにも注目が集まり、欝的なイメージもあると思うのですが、そのイメージと平行して美しいメロディもやはりEelsの武器であるので、『Hombre Lobo』ではその美しいメロディに重きが置かれている点(というより単純にメロディが良い)が非常に際立っています。
サウンド的にどうしてもBeckと比較されがちなEels(パーソナルなイメージは間逆ですが)なのですが、正直なところ今作『Hombre Lobo』の出来はBeckの才能に匹敵する程のサウンドだと断言が出来、日本でもぜひ再評価して頂きたいことろ。

元祖「髭」な存在感。

Hombre Lobo: 12 Songs of Desire (Dig)

Hombre Lobo: 12 Songs of Desire (Dig)

国内盤もホステスさんから出ますね
Hombre Lobo

Hombre Lobo

EELS - Fresh Blood