第二回『Tシャツを紡ぐ糸の種類』(カード糸とコーマ糸)

Lyme-Records的【Tシャツ&プリント用語解説】。第二回は『Tシャツを紡ぐ糸の種類』です。
Tシャツに使われている糸の種類は大きく分けて二つありまして、主にカード糸とコーマ糸に分けられます。カードとコーマというのは綿花の中に含まれる余分な短い繊維等を取り除く工程の事です。全ての紡績糸はカード工程を行っていますので、便宜上コーマ糸とカード糸を区別する為に、カード糸という名称が存在するようです。ですのでカード糸とは一般的な糸だと思って頂いて構いません。アメリカ産Tシャツはカード糸で作れているものが多く、ざらついた感はあるものの丈夫な作りだと感じると思います。どちらの糸が高級かといえば、繊維の均一度を上げるために短い繊維を丁寧に除去しているコーマ糸が高級ということになります。糸むらも少なくなり強度も増し、生地も柔らかく光沢も増すわけですからTシャツの糸の中では最高の部類の糸だと言えるかもしれません。ちなみにコーマ糸とカード糸の中間に位置するセミコーマ糸という糸もあり、文字通り中間の特性を持った糸でカード糸よりも柔らかでコーマ糸よりもラフな糸になります。ちなみにLyme-RecordsのTシャツはコーマ糸を使った高級素材のTシャツになっており、ご好評を頂いております。
カード糸

コーマ糸

こんなに違うんです。

また、オープンエンド糸(空紡糸)という単語もTシャツの糸を表す単語としてあるのですが、オープンエンド糸とは空気の力を使って繊維を撚り合う構造になっているので、繊維の間に空間があり適度な空気を含んでいます。コーマやカードは糸の品質を表していますが、オープンエイドは糸自体の状態というか繊維の撚り方(より方・ねじり方)を表す言葉です。アメリカ産のTシャツのカード糸はオープンエイド糸のものが多く、日本産や中国産の糸はリングスパン糸(ロープの様に撚ってあるので強度が高い)という一般的な形状の糸が多いです。オープンエンドの糸はふっくらとしたボリューム感がある一方で、ドライでザックリとした硬い風合いで、アメリカでは数多くのTシャツに使われていますが、耐久度に関してはリングスパン糸の方が高いといわれており、耐久度を上げる為に糸が太くオンスの高いヘビーウェイトTシャツが誕生したのではないかと思います。
という事で『Tシャツを紡ぐ糸の種類』について書いてきましたが、次回はその糸の太さに関してです。同じ糸の種類でもその糸の太さでTシャツの厚み(オンス)が変わります。次回はその糸の太さに関して書いていきたいと思います。

第一回『ヘビーウェイトTシャツ』とは