Robert Pollard の『The Crawling Distance』は非常に悩ましげな一枚

Guided By VoicesのフロントマンRobert Pollard『The Crawling Distance』が筆者にとっては非常に悩ましい一枚になっていたのでご紹介。
このブログにGuided By Voicesと書いてどのくらい反応があるのか見当もつかない為、どの様に書き出して良いのかも悩ましいわけですが、出来るだけ簡潔に書くと、Guided By Voicesという非常に短いポップソングを連発していたバンドがおりまして(2004年に解散)、そのフロントマンであるRobert Pollardは非常に多作なミュージシャンでありまして、ソロキャリアにおいても沢山のアルバムを発表しているわけであります。で、そのRobert Pollardが発表した最新のアルバムが『The Crawling Distance』というわけであります。そして何が悩ましいかというと、この『The Crawling Distance』が拍子抜けするほど実に真っ当なロックアルバムであって、今まであえて避けていたRobert Pollardのソロアルバムを買い揃えなければいけない羽目になりそうだからです。
収録曲はRobert Pollardの曲にしては長い曲ばかり(といっても三分前後の楽曲ですが)で、歌に重きを置いたシンガーソングライターらしい作品になっているのが新鮮で、中でもリズム面での面白みもある「Faking My Harlequin」「Cave Zone」、シングルにもなっている「The Butler Stands For All Of Us」やシンプルに削ぎ落とされたサウンドで歌が響く「Imaginary Queen Ann」あたりの楽曲は特に印象に残ります。後期Guided By Voicesから息の合ったプロデュースを見せているTodd Tobiasが今作『The Crawling Distance』もプロデュースを担当しており、Robert Pollardの枯れた歌声にピッタリの成熟したサウンドを聞かせてくれています。ただでさえ、Guided By Voices時代のアルバムを買い揃えるのに苦労した経験上、それ以上の枚数が出ているRobert Pollardのソロアルバムに手を出すのは(物量的にも金銭的にも)かなり危険だと感じていたから避けていたわけですが、そんな思いが消し飛んでしまう程の魅力がRobert Pollard『The Crawling Distance』には確かにあり、Robert Pollardのキャリアの中での何度目かのピークを迎えているのではないだろうかと感じさせてくれています。全く悩ましいぜRobert Pollard
でもまあ未だRobert Pollardの音楽に触れた事がない方には、最初はGuided By Voicesのアルバムから買って頂けたらなと思っているのも確かで、個人的にはメジャーデビューアルバムでもあり、Guided By Voicesの本質とは若干離れてはいるものの聞きやすくて手に入りやすい『Do the Collapse』あたりを聞いて頂きたいと思います。思い入れが深い大名曲「Teenage FBI」も収録されていますし。

また、Guided By VoicesおよびRobert Pollardに関しては「Whatever Happened To Pong?」という素晴らしいサイトが御座いますので、そちらを参照して頂けたら幸いです。このブログなんて些細なキッカケにしか過ぎないので。

Crawling Distance

Crawling Distance

屈指の大名曲。Guided By Voices - Teenage FBI