S-1バトルの裏に隠れた広告戦略の凄まじさ

S-1バトルに関して少しだけメモ。

賞金額の大きさとかM-1との比較とかに目が行きがちですが、その1億円という賞金額(総額で2億2000万円)が何なのかという事がこの大会の意味しているところ。つまりこの莫大な賞金額≒広告費であって、賞金額の大きさが建前ではお笑いの地位向上というか芸術化とか何とかになっていますが、個人的にはソフトバンクが広告費をぶっこんで来た様にしか見えない。完全に孫社長はアクセスアップというかトラフィック増の為の広告費の一部だと割り切っている。簡単に言えば吉本興業を使ったソフトバンク携帯の広告戦略。だから、このS-1バトルがお笑い界の地位が向上する大会になるとは思えない。
ちょっとルールの面で突っ込むと、やはり視聴者の投票での審査というのは限界がある。芸術にしてもスポーツにしても視聴者が審査をして優勝を決めて、尚且つそこに莫大な賞金が出るという大会は存在しない。厳格なルールや審査があって様々な縛りがあるからこそ、その範囲内(もしくはその範囲をブチ破り新しいルールを作らざるを得ない程の圧倒的な力)での高みを目指すのである。そして、その結果が大衆に受け入れられてこそ地位が確立するというわけである。お笑い界で言えばそのギリギリのラインがM-1グランプリで、最終的には主観や審査する人の価値観が左右するものの、そこには最低限のルールがあり、年月を重ねる事でエンターティメントとある程度の権威とのバランスが取れてきたように思う。そのルールが今のところ見られないS-1バトルは、どうしても人気投票的な意味合いが出てくるし、過去に一般投票で決してきたものには賛否両論が付きまとってきた。プロ野球のオールスターの投票然り、インターネット上では幾らでも見られる組織票の類。しかも携帯の投票という非常に年齢層が限られる投票方法で、色々な種類の新しいお笑いが生まれるとは考え難い。だけど、そういった組織票があったり賛否両論がある事自体、孫社長は織り込み済みだろうし、S-1バトルが否の方に大きく振れたとしても大会自体が一年こっきりで終ったとしても、トラフィックが稼げる事は間違い無い。つまり、結果がどうであろうと広告になる今回のS-1バトルの賞金は完全に広告費という事になるのだ(もちろん様々な大会にはスポンサーというものが存在するが、イメージ広告では無く、これほど狙いがハッキリした広告費は珍しい)。だからこれはある意味新しくて露骨で思い切りがある凄まじい広告だ。しかも吉本興業を抑えている時点で、現状一番大きなお笑い界の分母である吉本興業に属しているお笑い芸人にとっては選択の余地は少ないし、それが会社というものだ。その辺の何とも言えない様々な違和感があの「S-1バトル開催決定!」のニュースには含まれていた為、始まる前から何となく微妙な雰囲気になっているのかもしれない。

グダグダ書きましたが、一応、代替案をあげるとしたらこの企画はアマチュア参加(もしくは結成1年未満のプロとか)にすべき。お笑いを芸術化するとまではいかなくても、大衆芸能として廃れないようにする為には、お笑いを裾野を広げる事が大事なわけで、それこそどのスポーツ界でもやっている事。つまりM-1を意識するのではなくて、アメリカン・アイドルの様なオーディション番組をパクった大会を立ち上げるというわけ。その結果、吉本興業以外のお笑い芸人の養成の場が出来たり、大会に出場した結果、プロから声が掛かってくるとかの方がよっぽどお笑いの裾野が広がるし、そちらの方が携帯のコンテンツとしてのマッチングも高いように思える。

まあ、いまだに2GのJ-PHONEを愛用している自分が偉そうに書いても愚痴っている様にしか見えないのが空しいのと、良い子がS-1を検索したら大変な事になるのでそろそろ終了です。