Cut Off Your Handsの『You & I』で見る素材型の行く末とBernard Butler

ニュージーランド出身の4人組、昨年デビューを果したCut Off Your Handsですが、デビューアルバム『You & I』のインターナショナル盤が流通しだしたのでご紹介。

予備知識があまり無いまま、軽く視聴して買った為、手元に到着して気付いたのですがこれもBernard Butler物件。という事でBernard Butlerプロデュース作品を簡単に振り返りながらご紹介。個人的にはBernard Butlerのプロデュース業で一番の仕事かなと思っているのは、The Libertines「Don't Look Back into the Sun」のシングルバージョンのプロデュースで、Bernard Butlerのプロデューサーへの道筋をつけてくれた曲だと思っています。ご存知の通り、その後Bernard Butlerはプロデューサーとして名を馳せるわけですが、特に2008年はCajun Dance Party『The Colourful Life』、 Duffy『Rockferry』、 Black Kids『Partie Traumatic』と話題作のプロデュースが続き、売れっ子プロデューサーとして広く認知される事になりました。Bernard Butlerのプロデュースの特徴としてはポップに手堅くまとめるという印象があって、それ故に平均点のものを全体的に押し上げる事が出来るし、癖の強いものをまろやかにする事が出来るのだと思います。特に2008年のCajun Dance Party、Duffy、 Black Kidsあたりにもその傾向は見られると思うのですが、ただ、逆に言えば小さくまとまるというか、アルバム全体でいうと平坦になってしまうという印象もあるので、その辺が難点といえば難点。ですのでどちらかと言えばアルバムというより曲単位でのプロデュースの方がBernard Butlerの特色は出るのではないかと感じています。
では今回のCut Off Your Hands『You & I』はというと、やはりこれも綺麗にまとまっている印象で、全体的なクオリティは高いです。Cut Off Your Handsはどちらかといえば、Cajun Dance Partyなんかと同じで、素材型のバンドだと思うのですが、曲のバラエティもあるしメロディにフックのある曲が多く、将来性は十分あるのだと思います。自分はアルバム一曲目の「Happy As Can Be」を視聴した時にポイントになる引っ掛かりがあって購入したわけですが、その他にも「Expectations」「Oh Girl」のようなポップなシングル曲が並んでおり、前半の6曲目までは想像以上に素晴らしく(5曲目の「It Doesn't Matter」が個人的にはベストトラック)、後半若干息切れするもののデビューアルバムとしては合格点のアルバムだといえると思います。あとアルバムのクレジットを見るとThe TearsMako Sakamotoの名前もあったので、Tearsのセカンドアルバムが出る事を切望している筆者にとっては微妙に嬉しい。
この様なUK色の強いCut Off Your Handsの様なバンドがニュージーランドから現れて、名門レーベル【sixsevenine】(StreetsFutureheads、Mystery Jetsを輩出している)からデビューし、日本のSummer Sonic 08へも出演するのだから、音楽ってホントに面白いなと思うのですが、デビュー時の喧騒は一時的なものですから、その様な場数を踏みつつもCut Off Your Handsが本領を発揮するであろうセカンドアルバムに繋がっていって欲しいものだと思っています。
というか絶対出せよセカンドアルバム。

なぜかアルバムタイトルにもなっている「You & I」が未収録。国内盤のボーナストラックになるかと思いきや、国内盤は発売延期?になった模様。頼みますよ、ホント。しかし安いな輸入盤。

You & I

You & I

Cut off Your Hands - 'Oh Girl'