Glasvegasの『Glasvegas』は正しいポピュラーソング集、The Raveonettesの『Lust Lust Lust』は正しいJesus & Mary Chain

Jesus & Mary Chainの後継者的な扱いをされているGlasvegasですが、確かに基本的にはそうなんですが、もっと普遍的な歌心がありますよね。とまあ、そんな事より、この声が誰に似ているんだろうと考えても考えても明快な答えが見つからなくて気になって仕方ないんですというお話です。

Jesus & Mary Chainをそのまま受け継いでいるという意味ではデンマークのバンドであるThe Raveonettesの方が適切で、昨年発売されたサードアルバムでもその陶酔ぶりを発揮しています。アルバムタイトルからし『Lust Lust Lust』だし、「You Want The Candy」なんて曲もあるし、見た目もあれだし・・・もう行き着くところまで行ってしまった状態で感服するしかありません。Raveonettes『Lust Lust Lust』は今までの作品より、メロディの質自体も上がっていますし、サードアルバムで完全に振り切れた事によって、Jesus & Mary Chain以上にJesus & Mary Chainの音を忠実に再現しているのではないでしょうか。現在は『Lust Lust Lust』の楽曲のリミックスEPが無料ダウンロードされていますので、興味のある方はこちらからどうぞ

Lust Lust Lust

Lust Lust Lust

さて本題のGlasvegasなんですが、ボーカルのJames Allanの外見はちょっぴりJoe Strummerを感じさせますし、そのバンドの佇まいはとても2000年代のバンドとは思えない・・・とまあ、その外見はさておき、Glasvegasのアルバム『Glasvegas』はいかにもイギリスで受けそうな要素が奇跡的に再構築されていますのでGlasvegasが多くの人から受け入れられているのも当然だと感じています。ポピュラーソングの「You Are My Sunshine」の一節を最後に持ってきた「Flowers and Football Tops」から幕を開けるこのデビューアルバムは、シンプルな単語でシンプルに綴られた詩的な歌詞とメロディが並んでおり、普遍的なポピュラーソングに対する望郷の念の様なものを感じます。RaveonettesJesus & Mary Chainシューゲイザーサウンドを忠実に再現しているのに比べてGlasvegasはその甘美なメロディの部分を抽出している向きがあって、良質なメロディと歌を全面に出す事でPhil Spectorのウォール・オブ・サウンドの様なポピュラーソングの再構築を試みているのだと思います。実際にGlasvegasRonettesもカバーしていますし(まあRaveonettesはそのバンド名からしRonettesBuddy Holly「Rave On」の掛け合わせですから最も露骨ですけど)、シンプルなコード進行やメロディと詩的な世界観、そして演歌的に歌い上げるボーカルスタイルのありそうでなかった組み合わせが多くの人の琴線に触れるのだと思います

Glasvegasは手に入り難い音源も多いので国内盤のボーナストラックに期待していたのですが、既に持っているシングルのカップリングだったんで、結局輸入盤を買ってしまったではないか・・・

Glasvegas

Glasvegas

早くも『A Snowflake Fell (And It Felt Like a Kiss)』と名付けられたセカンドアルバム(といっても六曲入りCDと『Glasvegas』カップリングした二枚組でChristmas Editionとして)が発売!
Glasvegas

Glasvegas

The Raveonettesの到達点「You Want The Candy」

Glasvegasの魅力の一つであるJames Allanのねちっこく歌い上げるボーカルが一体誰に似ているのかという大きな疑問点がありまして、最初はMorrissey?Embrace?Dovesとか思ったのですが、もっと似ている人がいるような・・・凄く喉まで出かかってきてるんですけどね。気になって仕方がありませんので、誰かご指摘を。
Glasvegas「Daddys Gone」 - on jools holland