Ida Mariaの『Fortress Round My Heart』の落差が野茂英雄ばりで驚いたというお話

Ida Mariaはノルウェー出身の歌姫という触れ込みだったので、Bjorkみたいなのを想像して視聴してみたら「Oh My God」という曲が全然ロックな感じで、きっとアルバムはエキセントリックな方向性になっているのだろうなと思っていたら、良い意味で普通だったので凄く驚いた。Ida Mariaの『Fortress Round My Heart』はCDをプレイヤーに乗せる前と後ではガラリとイメージが変わってしまったという点に置いては今年一番だなというお話です。

冒頭でも書きましたが、Ida Mariaは実際にはStrokesミーツ Bjorkと言われているらしいのですが、これは間違い。Bjorkに似ているのはこぶしがまわる歌唱法（「It's Oh So Quiet」とか歌っている頃の感じ ）だけで、あとは北欧繋がりという部分でしょうか。まあ、何とな音数が少なくてロックな感じを総称してStrokesと呼びたい気持ちは分からんでもないですが、本質的には全く別物だと感じます。
そんな話はさて置き、Ida Mariaはアルバム『Fortress Round My Heart』で非常に幅広い音楽性を聞かせてくれており、全く想像外の豊かな表現力を発揮しています。また、ボーカルには北欧特有の民族音楽的な透明感を保ちながらもソウルに満ち溢れた魅力があり、それが彼女の大きな武器になっているのは確かだと思います。シンプルなパンクロックである「Oh My God」やソウルフルに歌い上げる「Stella」、そしてギターポップと言っても過言で無いほどのポップなサウンドの「Queen Of The World」と、バラエティに富んだ楽曲の粒は揃っていますし、ガーリーだとかアンチ・ヒロインだとか言う以前に、その楽曲の多様性と変幻自在のボーカルスタイルに注目すべき女性アーティストだと思います。そして彼女の見た目もアバンギャルドな一面がクローズアップされがちですが、音楽に対する純粋な探究心や力強く表情豊かなボーカルを包み隠しているフェイクの一つに過ぎないと思いますので、そのイメージや外見に騙されてはいけないなと自省。

Fortress Round My Heart

完全にギターポップな「Queen Of The World」をどうぞ。