She & Himの『Volume One』は時代の玉手箱やぁ

Jenny Lewis『Acid Tongue』のレビューを書いた勢いで、今更だけどShe & Him『Volume One』についても少々。

She & Himに関してはLyme-RecordsのデザイナーTSUN-CHANGも大絶賛していて、このブログでも取り上げたかったのですが、タイミングを逃してしまっていました。正直なところ、本作の国内盤のライナーノーツを手がけているのThe Muffs' Fanpage In Japanのぴかおさんのブログの過去ログとライナーノーツを読んで頂ければ、この作品の魅力は存分に伝わると思うので、蛇足的に少々。
She & Himの魅力は60年代の音楽の要素を全編に散りばめたその楽曲の素晴らしさで、非常にシンプルなメロディながらもその時代の空気感やエッセンスを上手くパッケージングして表現しており、『Volume One』にはまるでその時代のエッセンスをぎゅっと詰め込んだ玉手箱を現代で開封したかのような不思議な魔法が宿っている。もちろんこの魔法にはもう一人のShe & HimであるM. Wardも一役買っていて、彼が一歩引いたポジションで黒子に徹している事が功を奏しているのではないかと思います。Zooey Deschanelの音楽家としての魅力や表現したい音楽をM. Wardが完全に理解していないと、このバランスにはなっていないだろうし、その意味でM. Ward(とそれをサポートしたM. Wardの人脈でもある今作の参加メンバー)の果した役割は大きいと思います。
もう一点はZooey Deschanelのボーカリストとしての魅力が炸裂している事も大きいと思っていて、Zooey Deschanelの声質ってその外見や年齢の割(といっても28歳なんだよね、若く見えるな〜)に落ち着きがあるというか独特のトーンと味わいがあって耳に残るんですよね。とりわけ歌が上手いとかそんなレベルでなく自分の声質を理解しているというか魅力を滲み出せるボーカルだと思っていて、ボーカリストとしてももっと評価されるべきかなと思います。あまり比較対象が見つからないタイプのボーカルなのですが、自分は時代をパッケージングした存在としてKirsty MacCollが思い浮かびました。皆さんは如何でしょうか?
Zooey Deschanelには女優業もあるので、その活動も限定的かと思われたのですが早くも次作(おそらく『Volume Two』)が来年にあたりに聞けるかもしれないという情報もチラホラ。多方面に才能のあるZooey Deschanelですので、音楽家と女優業のバランスをとりながら両方の活動を続けて欲しいものです。

ヴォリューム・ワン

ヴォリューム・ワン

ちょっと前に流行ったRonettesもどきより空気感のパッケージングが上手いと思うのだ。
She & Him - Sweet Darlin'