Jenny Lewisの『Acid Tongue』はElvis Costelloの参加が眩むほどの傑作
事前にmyspaceで試聴した感じではJenny Lewisが中心となっているバンドのRilo Kileyの最新作『Under The Blacklight』の系譜で、もっと洗練されたアルバムになっているのかと思ったのですが、どころがどっこいJenny Lewisの『Acid Tongue』は正しく真っ当なロックンロールアルバムになっていた。個人的な好みでいえばJenny Lewisソロ名義ファーストアルバムの『Rabbit Fur Coat』や『Under The Blacklight』よりも好き。それはこのアルバムがどこかとり散らかっていて洗練されていない部分があって、隙のあるアルバムだからだと思うわけでありまして、もちろん『Under The Blacklight』の流れを汲んでいる部分もあるので完成度自体は決して低くないんだけど、もっと遊びがあると思うのであります。これは『Rabbit Fur Coat』と『Under The Blacklight』のコンセプトが良い具合にミックスされている事が功を奏していると思っていて、あえてラフに仕上げている部分が残されているからこそ様々なタイプの楽曲(とくにゴスペル調の曲)が引き立っているのだと思います。まあゴスペル調の曲がこれだけ際立つロックアルバムというのは特異とも思うし、その辺は明らかに『Under The Blacklight』がもたらした功績かと。
※この辺のJenny Lewisの音楽の進化の過程とミックスの方法論がThe Muffs' Fanpage In Japanのぴかおさんが言うところの「ポピュラー・ミュージック論」に重なっていくのだと思います。
楽曲の中ではElvis Costelloとデュエットを決めた「Carpetbaggers」も良いことは良いんだけど、特にBlack CrowesのChris RobinsonやJonathan Wilson、そしてJenny Lewisの恋人でもあるJohnathan Riceが参加したゴスペル調の「Acid Tongue」からの再びゴスペル調の「Trying My Best to Love You」までの中盤から終盤へ向かう流れが圧巻で、この作品のハイライトかと。あと今最も音楽業界で注目を集めている(と自分が勝手に思っている)女優であり、音楽家でもあるShe & HimのZooey Deschanelのコーラスも存在感を放っているし、とにかくゲストのチョイスや配置がこのアルバムにしっかりと嵌っている事もこのアルバムが傑作になりえた所以ではないかと感じたりもしています。
- アーティスト: Jenny Lewis
- 出版社/メーカー: Warner Bros / Wea
- 発売日: 2008/09/23
- メディア: CD
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