すばらしい世界

いつかエントリーとしてあげようと思っていたのですが、何となく引き延ばしにしていて、人生の転換期を迎えたこのタイミングで書き残しておきたいと思います。
もう二年も前の話ですが、入院した祖母を頻繁に見舞っていた時期がありました。骨折してからめっきり弱ってしまった祖母は施設に入り、痴呆の症状も進み、恐らくは自分のことも認識していなかったと思います。どこにでもある話ですが、会うたびに自分と祖母との関係性を説明し、手を握って身体をさすって昔話をしました。今が分からなくとも昔話には饒舌になる祖母は、穏やかに昔話を語って、少し疲れて眠りについていました。
ある日いつものように施設の祖母の部屋に足を運ぶと、いつもより疲れた祖母がいました。身体に変調があって辛さを訴える祖母。苦しみを訴える祖母の直接的な姿より、自分が感覚的な変調を感じたことに引きずられ、すぐに施設の方に相談し自分より近しい親族にその事を告げました。親族によると、その様な症状を訴える事は何度もあったようですが、個人的に感じた違和感を説明し、施設の方に詳しく聞いて欲しいという旨を伝えました。
そして施設を後にした車のCDデッキから流れたのが、「すばらしい世界」という楽曲。死生観が滲む楽曲と美しいメロディが終わりの始まりを告げたようで、とめどなく涙が溢れ、ファンファーレとフィナーレの狭間で心を揺さぶられたことが忘れられません。
その後すぐに病院へ移された祖母は、家族や親族と過ごす時間を与えてくれた後に、穏やかに眠るように静かに旅立ちました。自分にとってふくろうずの「すばらしい世界」は忘れられない楽曲。
昨晩の友人との他愛の無い酒の席でふと思い出しました。その勢いを大切に。ばら色のため息がつけますように。

ごめんね

ごめんね