Katy Bが『On a Mission』で証明するダブステップ・ガラージとの融合

Katy B『On a Mission』を聞いています。
Katy Bといえば今流行のダブステップや、ガラージのアーティストとして取り上げられるわけですが、正直なところ、ダブステップガラージなどのサウンドの分類がシッカリと出来るかといえば出来ませんし、Katy Bに関してもほとんど前情報無く、何となく流行っているからという不純な動機で購入してみました。聞いてみて思うのは、UKでも大衆受けしているだけあって、非常に聞きやすいアルバムだという事。大ヒットしたKaty On a Mission」「Lights On」辺りはもちろん、楽曲が全体的にコンパクトでポップな仕上がりですので、個性的で風変わりなビートに乗りながらも、ポップミュージックとして上手く機能している印象を受けます。全ての楽曲はプロデュースしたBengaGeeneusZincMagnetic Man等とKaty Bが共同という形で手掛けており、彼女にはソングライティングの素養が備わっているのだと思うし、Katy BのR&B志向が強力なビートと相性の良さを発揮しています。
結果として『On a Mission』はダンスポップアルバムとして楽しめますので、『On a Mission』が多くの人に支持されるのは当然の結果だと思います。また、UKでは大ヒットしているとはいえダブステップガラージは日本ではまだまだ知名度も低いですし、Katy Bの様な分かり易さがJames Blakeがピンとこない人にも、ダブステップガラージを伝えるキッカケになるのではないかと思います。世が世ならR&BのディーヴァとしてデビューしたかもしれないKaty Bが、ダブステップガラージを吸収する事でニュータイプのディーヴァとして、ヒットを飛ばしている事は2011年の象徴的な出来事だと思うし、Katy Bが一過性のアーティストではないという事を『On a Mission』では証明しているように感じます。アルバムの最終曲であり、7分弱で唯一の長尺なトラックである「Hard to Get」(シークレットトラック的な「Water」がブランク後に収録)の最後の部分でKaty Bは感謝の声として名前を次々と連呼していくのですが、その声は家族に始まりアルバムに関わった人、リスナーにラジオにDJ、様々な名前が飛び込んできます。そして「most of all big up to everyone listening to this album, joining me on my misson」という言葉で締められる『On a Mission』には、Katy Bの強い意志や、こちらが考えている以上のアーティストとしての力が秘められている様に感じます。
来月発売になるUS盤はかなり価格が安いのでお勧めしておきます。

On a Mission

On a Mission

ゴス的な雰囲気のジャケットと動画ではかなり印象が違います。

UKの女性アーティストでありがちのジャケ写詐欺など言わないように。