Wheatusの『Pop, Songs & Death: Vol. 2 - The Jupiter EP』で2010年を締めくくる

さて、今年の締めくくりに相応しい音源を聞き倒しているのでご紹介。賢明なこのブログの読者であれば、既に多くの人が耳にしてるであろうWheatus『Pop, Songs & Death: Vol. 2 - The Jupiter EP』のご紹介です。
商品の購入方法などの基本的な設定は前作『The Lightning EP』と同じなので、前作のレビューをご参照頂ければ幸いです。
という事で内容に関して書いていきたいと思います。『The Lightning EP』が6曲で39分というボリュームだった事からも分かる通り、楽曲の尺が長くなる傾向にあったWheatusですが、『The Jupiter EP』では更にその路線がハッキリと打ち出されており、全6曲で45分、全ての楽曲が6分以上ですので曲単位では圧倒的なボリュームになっています。
一聴して分かるのは『The Lightning EP』以上に音が洪水の様に飛び込んでくるという作品だというのに、Brendan Brownのボーカルがドッシリと楽曲の中心に存在感を持って据えられているという事。オープニングの「The Story Of The Eggs」から、ゴスペルを思わせる様な崇高さがあり、ボーカルが次々と絵巻物の様に耳に飛び込んでくる印象で、『The Jupiter EP』の壮大なストーリーを演出しています。この印象は『The Jupiter EP』全体を通しても変わらず、個々の楽曲というよりも作品全体がひと繋がりになっている様な『The Jupiter EP』が、6曲入りのEPというスタイルで発表されている意図がハッキリと表れています。エモーショナルなボーカルに振り切っていきながらボーカルの表現力で見事な展開を見せる「So Old n' Told」などの楽曲を筆頭に、ボーカルとサウンドの重なりが特徴的で広がりのある「A Fisherman With A Clock」など、Brendan Brownのボーカルは今まで以上の冴えを見せており、ある意味『The Jupiter EP』はボーカルアルバムに仕上がっていると感じます。
個々のフレーズにはポップさがあるのに敢えて単純なポップソングは封印され、重厚さが印象的な楽曲を中心に構成されている『The Jupiter EP』は、前作同様に様々なサウンドが物凄い情報量を持って飛び込んでくるのですが、特定の楽器が印象的に響くというより、Wheatusサウンドを総決算した様なサウンド全体の音像が一斉に迫ってくるといった印象で、更には音のリフレインが続く事によって、まるでトランス効果があるダンスミュージックの様な作用を与えている印象を受けます。
『The Lightning EP』から引き続きWheatusが使用しているマルチトラックレコーダーSonomaシステムを使ったDSD方式の録音は、Wheatus独自のサウンドを構築する事に大きな貢献を果しており、様々なサウンドやメロディが出尽くした2010年においても新鮮なサウンドの印象を与えてくれています。音源の販売方法を含めて、我が道を突き進むWheatusの活動はもっと支持されてしかるべきものだし、多くのリスナーに支援して頂きたいと思います。
という事で、購入者自身が自由に価格を決められるシステムで0円でもダウンロード出来る訳で、聞かない人はどうかしてるぜ!そのくらいの意欲作に『The Jupiter EP』は仕上がっています。また、『The Jupiter EP』にはAIFF形式も加わっているので必要に応じてご選択を。
ちなみに自分は『The Lightning EP』『The Jupiter EP』の両方がセットになった限定のCDとDVDのマテリアルを購入(もちろん『The Lightning EP』は既に持っていますが)。更に両EPのアナログ盤のセットも購入しました。価格は送料を入れて全部(両EPのアナログ盤、CD盤、DVDを併せて)で72$(日本円で6,000円弱と激安!)。まずは無料ダウンロードをして気に入った方はちょっと多めに払って頂く(5ドル以上支払えばボーナストラックとして自分の大好きなFreak On」「Pretty Girl」のアコースティックバージョンが手に入ります)か、CDやアナログ盤をぜひどうぞ。


ダウンロードはこちらから↓
http://www.wheatus.com/main_index.html