Cherry Ghostの『Beneath This Burning Shoreline』の漂う3年分の深み

Cherry Ghostのセカンドアルバム『Beneath This Burning Shoreline』をご紹介。
Cherry Ghostは2007年に発売されたデビューアルバム『Thirst for Romance』がUKチャートの7位を記録するなど、本国では話題になったバンドで、事実『Thirst for Romance』は新人離れしたソングライティングのセンスが発揮された良作で、セカンドアルバムにも大いに期待が持てる内容に仕上がっていました。今回の『Beneath This Burning Shoreline』は、前作から3年の月日を経て発売されたわけですが、前作の時点で既に貫禄というか妙に落ち着いたサウンドを聞かせてくれていたCherry Ghostが、更に3年間でサウンドをひたすら熟成させた様な内容に仕上がっており、前作以上に幽玄なサウンドと情感的なボーカルが、作品に深みを与えてくれていると思います。
『Beneath This Burning Shoreline』はブリッジ的な役割を果す3曲目と9曲目を挟み、最終曲のインストでアルバムを締める事で、三つのパートからなるコンセプチュアルなアルバムとして機能しており、構成力を含めたトータルで勝負出来るアルバムにも仕上がっているのですが、その各パートの節目でクオリティの高い楽曲がバランス良く配置されています。展開力があり、ストリングスとトラッドの要素がバランス良く含まれたアルバムのイメージを象徴する様な「We Sleep on Stones」でアルバムの幕が開き、ファーストシングルとなった4曲目の「Kissing Strangers」から、今作の中では数少ないアップテンポでポップなメロディが耳に残る「Only a Mother」への流れや、10曲目に配置されてセカンドシングルとなっている「Black Fangが出色の出来だと思います。また、『Beneath This Burning Shoreline』に収録された楽曲は5分前後のものが多く、決して短い楽曲ではないのに間延びせずに聞く事が出来るのは、楽曲のクオリティの高さ故にだと思いますし、楽曲をじっくりと聴かせられるだけの実力をCherry Ghostは発揮していると思います。
また、プロデューサーはDoves『Kingdom of Rust』も手掛けたDan Austinで、前作に引き続きの起用が機能しており、『Beneath This Burning Shoreline』の完成度の高さの一端を担っていると思います。

Beneath This Burning Shoreline

Beneath This Burning Shoreline

大人の色香があるPV。