Jamesの『The Morning After』から聞こえてくる夜明け

Jamesの最新EP『The Morning After』が発売されたのでご紹介。
前作『The Night Before』のレビューでも書いていますが、今作『The Morning After』は前作と対になるEPで、そのタイトル（前夜と翌朝）から分かる通り、2枚組のアルバムの様な性質を持ってリリースされています。
『The Morning After』は前作『The Night Before』に比べるとかなり穏やかで柔らかいサウンドの印象で、電子音が煌びやかさを演出していた前作と対照的でシンプルなサウンドを聞かせてくれており、そのタイトル通り夜明けや東雲という言葉を連想させる様な仕上がりになっています。『The Morning After』全体を覆っているのはJames特有の浮遊感のあるサウンドなのですが、中でも「Tell Her I Said So」という楽曲は徐々に上がってくる高揚感とコーラスが圧巻で、『The Morning After』に収録された楽曲の中で最も印象に残ります。
また、Tim Boothのボーカルも力強く感じた前作に比べると優しいボーカルに仕上がっており、Jamesの魅力の一つでもある歌やメロディにスポットが当たった一枚だともいえると思います。今作『The Morning After』はJamesのセルフプロデュースになっていますが、クレジットを見るとTim Boothのボーカルに関しては、前作のプロデューサーであるLee Muddy Bakerがボーカルプロデュースという形で担当しており、ボーカルにウエイトを置いた作品である事はこの辺からも窺い知る事ができます。結果的に『The Morning After』は『The Night Before』と完全に世界観の棲み分けが出来ており、2枚のEPを1枚にまとめずに別の音源として発表するという手法自体は成功していると思いますが、EP2枚で1枚のアルバムとして評価するのであれば、『The Morning After』と『The Night Before』は、素晴らしい2枚組のアルバムだと断言出来ると思います。
そして、今回のEPは前回のEPと併せた2枚組の『The Morning After The Night Before』として既に発売されていますので、今から購入する方はこちらをお勧めします。Amazonでは何故か『The Morning After』よりも2枚組の『The Morning After The Night Before』が安い値段だったので、自分もこちらを買いました。猫の目がキラリと光るジャケットもインパクト大。

Morning After

Morning After the Night Before

インタビュー映像ですが　ライブの熱狂も伝わる。