Superchunkの『Majesty Shredding』で砕かれなかったサウンドと駆け抜けたギター

Superchunkの9年振りのアルバム『Majesty Shredding』がめでたく発売されたのでご紹介。
『Majesty Shredding』を一聴してまず思ったのが、自分のイメージにあるSuperchunkサウンドが忠実に再現されているという事。正直Superchunkの音源を聴く事自体が久し振りだし、記憶の奥に沈みかけていたサウンドでもあったのですが、『Majesty Shredding』を再生した瞬間に記憶が一気に蘇ってきてビックリ。一曲目の「Digging for Something」からSuperchunkサウンドを凝縮した様なキャッチーな曲だし、2曲目の「My Gap Feels Weird」も彼ら特有の甘酸っぱいメロディが印象的な良曲。その後も、全体を通してSuperchunk特有の硬質ながらも流れる様なギターサウンドが印象的で、堂々としたギターロックを聞かせてくれています。相変わらずポップなメロディが書けている事に加えて、Superchunk特有の疾走感も健在だし、Mac McCaughanのボーカルも青春性を感じさせる様な瑞々しさを失っておらず、思わず拳を振り上げたくなる初期衝動が全く失われていないのが何よりも感動的です。
最終曲の「Everything at Once」の象徴的なギターのリフレインとコーラスワークでアルバムが幕を下ろす瞬間まで、歌いながらやんちゃにギターを弾きまくって全速力で駆け抜けていく様なアルバムに『Majesty Shredding』は仕上がっており、Superchunkを今まで聞いてきた人だけでなく、初めてSuperchunkを聞く人にもお勧め出来る内容に仕上がっているのは嬉しい限りです。
Superchunkといえば90年代に畳み掛けるように音源を発表(90年代に7枚で2001年に1枚)し、駆け抜けるように活躍したギターバンドで、しかも自分達でレーベルを立ち上げてそこから音源を発表するという、まさにインディー・ロックを体現したバンドでした。ご存知の通り、SuperchunkLaura BallanceMac McCaughanはMerge Recordsを立ち上げ、今ではShe & HimArcade Fireを抱える人気レーベルに成長しており、Merge Recordsは知っていてもSuperchunkの存在を知らないリスナーも増えてきた2010年に、こんなにも変わらないアルバムを届けてくれた事は凄く意義深いと思います。彼らの音楽への愛情がレーベル運営にも引き継がれている事が再確認出来たし、何よりも現役感があるアルバムに『Majesty Shredding』が仕上がった事は今の音楽業界に勇気を与えてくれるのではないかと思います。
ボーナストラックが収録された国内盤はお馴染みPヴァイン・レコードから。

マジェスティ・シュレッディング [日本盤ボーナストラック付]

マジェスティ・シュレッディング [日本盤ボーナストラック付]

現役感を主張する素敵なPV。