Jack Johnsonの『To the Sea』を夏の終わりに聞く

夏も終わりましたがJack Johnson『To the Sea』のご紹介。
Jack Johnsonの5枚目のアルバムとなる『To the Sea』は、前作『Sleep Through the Static』に引き続き、全米、全英、全豪のチャートで1位を獲得し、大ヒットを記録しております。ここ日本でもある程度の知名度とセールス(オリコンチャートでも7位を記録)はあるのですが、世界中での大ヒットに比べると、若干見劣りはするかもしれません。とはいえ、Jack Johnsonは日本でも音楽業界のみならず、サーファー界を中心に幅広い層に支持されており、新しいタイプのミュージシャンとしてすっかり地位を確立した感があります。ポピュラーミュージックの歴史を顧みても、Jack Johnsonの様なタイプのミュージシャンは珍しいと思いますし、音楽ジャンルのミクスチャーでなく、本人の経歴や職業、人生そのものと音楽とのミクスチャーが脚光を浴びるというケースは、今後も増えてくるのかもしれません。あとJack Johnsonの音楽自体も、非常に手に取りやすいというか、多くの人に届きやすい良い意味での敷居の低さと親しみやすさがありますので、その辺も他のミュージシャンとは違うリスナーを獲得している大きな要因になっていると思います。
さて、前振りが長くなりましたが『To the Sea』の内容に関して。前作『Sleep Through the Static』が、かなり渋めというか落ち着いたトーンのアルバムだったのに比べて『To the Sea』はバラエティ豊かで軽やかなロック色の強いアルバムで、従来のJack Johnsonのイメージに回帰しながらも、そこから先に歩を進めた様な仕上がりになっています。本来の魅力であるアコースティックギターよりもエレクトリックギターやベースラインが印象的で、基本的にシンプルではあるものの、バンドサウンドがアルバムの核になっているのが『To the Sea』の特徴で、先行シングルとなった「You And Your Heart」を筆頭に、「At Or With Me」などの軽やかでポップな楽曲も多く収録され、今までのアコースティックでオーガニックなイメージから一歩踏み出したポップソング集に仕上がっている点も『To the Sea』の特筆すべきところだと思います。
Jack Johnsonのソングライティングも最盛期といっても過言ではないほどの輝きを見せていますし、『To the Sea』というアルバムは、亡くなった父親に捧げられたというバックグラウンドもあって、Jack Johnson自身を如実に表すアルバムタイトルが相応しい好盤だと思います。
全13曲で41分。夏が終わっても聞き続けられるアルバムなのでどうぞ。

To the Sea

To the Sea

とはいってもPVは夏満載なのですが。