The Chemical Brothersが『Further』が見せた現役感と統一感

The Chemical Brothers7枚目となった『Further』が良かったのでご紹介。
Chemical Brothersといえば、多彩なゲストをアルバムに招いた歌モノの印象も強かったのですが、今作『Further』は基本的にゲストや大々的な歌モノが収録されていなかったで意表を付かれました。『Further』はフロア対応のサイケデリックで浮遊感のあるスペーシーなトランスが基調になっているものの、生音の暖かみも感じられるのが印象的で、まるでミックスCDを聞いているかの様な錯覚に陥る構成と統一感は、近年のChemical Brothersの作品には無かったものだと思います。先行シングルになった「Swoon」がアンセム的なスケールと大衆性を持った楽曲だっただけに、その他の楽曲が聞き劣りしないか気になったのですが、12分の長尺である「Escape Velocity」(ヴァイナルのみでこちらも先行シングル化)も勝るとも劣らない好トラック。
全体を通してChemical Brothersの持ち味であるポップさとブリブリとしたビートや良い意味での下世話さを残しつつも、アルバム全体のストーリー性を追求した結果、トータルアルバムとして成立させる事が出来たのは『Further』の特筆すべき点だと思います。何よりもDJとしての活動も平行している二人ならではの現役感も感じられる作品に『Further』が仕上がっている事が、Chemical Brothersが現在進行形のユニットである事を証明しているし、まさに面目躍如の一枚といえると思います。
あと、8曲52分という長さもダンスアルバムとして聞き飽きずに楽しめるコンパクトなサイズで、繰り返し聞くのにも堪えうる仕様になっているのも嬉しいところ。

Further

Further

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時空の彼方へ-スペシャル・エディション- 【初回生産限定盤】

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